現金売上を使っちゃったら脱税なの?(続)

Last updated on 2023年10月20日 By 杉田健吾

みなさんは現金を受け取った時、しっかりとレシートや領収書で記録を取っていますか?現金は会社のお金と自分のお金に色が付いているわけではないので、一度混ざってしまうと区別が付きません。そのため、記録がないと受け取った金額や日付がわからなくなってしまいます。

そして受け取った金額がわからないと売上の計上が正確にされているのか判断ができなくなります。その結果、税務調査によって計上漏れが見つかった時に売上除外だと言われてしまうのですね。そうならないためにも、売上の計上を忘れない方法と売上を計上し忘れて脱税になる条件について理解しておきましょう。

今回の内容は

売上を計上し忘れていると脱税になるかも
現金の売上って計上忘れが多い?
売上除外でブラックリスト入り
現金の売上は記録を残そう

売上を計上し忘れて脱税になる条件
「隠蔽(いんぺい)」と「仮装(かそう)」
現金売上の隠蔽と仮装の例
脱税にならないためにきちんと反論を

売上除外を指摘されないように気を付けよう

売上を計上し忘れていると脱税になるかも

前回のレクチャーでは、現金で受け取った売上ってうっかりすると後からどこに行ったのかわからなくなって、ちゃんと売上に計上するのを忘れることも多いですよね、という話をしました。

現金の売上って計上忘れが多い?

たとえば、セミナーをやってる人がセミナー代金を受け取るときです。以前は、セミナー当日に会場で現金で受け取ることも多かったですよね。現金で受け取ってしまうと、うっかりするとその現金で受け取ったセミナー代金で、ご飯食べに行ったり、コンビニでアイス買ったり、何も買わなくても自分の財布の中に入れてしまって、いつの間にか日々の生活費に充ててしまう。そして、すっかり売上に計上するのを忘れるなんてことも結構あったりするのではないでしょうか。

たとえば、うちの近所の花屋さんなんかは、お店のレジの現金売上を使っていつも昼ごはんを食べに行ってましたからね。おいおい、その現金売上はちゃんと売上に上がってるの〜ってね。

売上除外でブラックリスト入り

このようにあまり深く考えずに現金で受け取った売上を、いつの間にか使ってしまってうっかりと売上に計上するのを忘れていると、税務調査があった時に調査官から「社長、これは売上除外ですよ〜」と「除外だ!除外だ!」ってしつこく言われて、うっかりと「はいそうですね」「すみませんでした」なんて調査官の勢い、調査官の圧力に押されて認めてしまうと、いつの間にか脱税行為にされて重た〜い重加算税を払わされます。そして先日書いた国税のブラックリストに見事に載ってしまうということですね。ブラックリストに載ってしまうと、3年後にまたきっちり国税がやってくるなんてことになりますからね。

現金の売上は記録を残そう

そうならないために、もしあなたが今現金の売上の管理がずさんで、全部売上に計上されているか自信がないなら、今からでいいので、現金の売上については受け取ったら確実に領収書を作成して記録を残すことを習慣にしてくださいね。

売上を計上し忘れて脱税になる条件

その上で今回のレクチャーで必ず覚えて帰って欲しいのは、脱税となる条件についてです。

「隠蔽(いんぺい)」と「仮装(かそう)」

実は、国税があなたの行為を脱税だと認定するためには、「隠蔽(いんぺい)」または「仮装(かそう)」という行為が故意に行われることが必要なんです。ちなみに隠蔽とは「事の真相などを故意に覆い隠すこと」だし、仮装とは「第三者を欺くために虚偽の意思表示をする行為」を言います。

現金売上の隠蔽と仮装の例

現金売上の例で言うと、「現金売上の領収書を故意に破り捨てて(破棄して)売上を隠す」とか、「現金売上の領収書の金額を故意に書き換える(改ざんする)」とかです。例えば、現金100,000円の領収書をゼロ1個削って現金10,000円に書き換えるといったことです。このように税金を安くする目的で、あなたが隠蔽または仮装行為を故意に行ったことが前提になります。

脱税にならないためにきちんと反論を

「えええ〜!そこまで私は考えてなかったよ〜。単なるズボラな管理だったから、うっかり売上が漏れちゃっただけで、そんな隠蔽工作とか仮装なんかしてないし〜」って思いますよね。あなただって、さすがにそこまで故意に隠蔽工作とか仮装はやってないですよね?だったらそこは、「この現金売上の計上が漏れたのは私のズボラが原因でして、うっかりミスなんです。けっして売上を故意に除外しようとした訳ではなく、単なる事務処理上のミスで、隠ぺいとか仮装をしようなんてこれっぽっちも考えたことはないです!」ってきちんと反論しましょうね。

そうしないと、間違いなく調査官の勢い&圧力に押されて、根が優しいあなたはつい「すみませんでした」って認めてしまいますからね。なので今回はこのレクチャーをしっかり読んで、脱税となる条件をしっかりと覚えておいてくださいね。

売上除外を指摘されないように気を付けよう

今回は、売上の計上を忘れない方法と売上を計上し忘れて脱税になる条件について解説してきました。売上の計上を忘れないためには、売上の現金を別で管理することです。そのお金で昼食を買ったり、自分のお財布に入れたりしてはいけません。売上を計上するまではしっかりと別で管理しましょう。そうはいっても、なかなか難しいという方は、記録を取っておくことをおすすめします。領収書を作成することを習慣にしておくとよいでしょう。

そのうえで、脱税になるには「隠蔽(いんぺい)」または「仮装(かそう)」という行為が故意に行われることが必要なんだ!と言うことをしっかりと知って覚えておいてくださいね。この二つに該当しないのであれば、もし売上の計上を忘れていたとしても、しっかりと主張しましょうね。