名前の言えない”あの人”の税金は誰が払う?

Last updated on 2023年10月25日 By 杉田健吾

あなたは名前が言えない”あの人”にお金を渡したことがありますか?そんなの無いと思っている人でも、意外とあるかもしれませんよ。例えば、何かをしてもらった代わりに謝礼を支払ったとか。ビジネスをやっているとたまにはありませんか?でもその時に領収書を貰わないことも多いのではないでしょうか?

しかも、このことは内緒にしておいてね。なんて言われたら経費にすることもできません。でもそれだけではないんです。そこで今回は、名前の言えない”あの人”への支払いであなたにどのようなことが起きるのか解説していきます。

今回の内容は

謝礼の支払いは経費にならない?

簡単には経費として認められない
経費にできる条件とは
経費にならないと利益になる

“あの人”への支払いは会社の利益になるだけではない
利益になると税金を代わりに納めることになる
さらに使徒秘匿金扱いにされることも

名前の言えない相手へのお支払いは慎重に

謝礼の支払いは経費にならない?

前回のレクチャーでは、「知り合いで地元ではそこそこの地位にある方からお客さんを紹介してもらったので、その謝礼に現金を渡したんです。でもその相手の方から、『この謝礼は内緒にしたいから領収書はなしね。』って言われてどうしていいか困ってるんです。」と言う話をしましたね。

そして、このように仕事や人を紹介してもらって、その謝礼に現金を渡した場合、いわゆるリベートとかキックバックとかって言われるやつですが、「税金の世界ではそんな支払った相手方の名前も住所も明かせないようなものは経費には認めないよ!」って言われるよということでしたね。

簡単には経費として認められない

謝礼を経費として認められないと言われても、「まじで?紹介に対する謝礼なんだから、交際費でいいんちゃうの?」って思いますよね。いやいや、違うんですよ。あなたが勝手に謝礼だからということで交際費として経費にしていたとしても、そんなどこの誰に支払ったかわからないようなものはそもそも経費にできない(損金に算入できない)と言われてしまうんですね。

経費にできる条件とは

そもそも税金の世界では、経費にするためには

  • いつ
  • どこの誰に
  • 何の目的で
  • どうやって
  • いくら支払ったのか

これらが明確になっていないと、経費には認めてもらえないっていう原則があるんです。まあ、ちょっと考えたらわかりますよね。どこの誰に何の目的で払ったのか?もわからないような支払いが経費にできたら、そりゃ〜おかしいわな。って思いますよね。

経費にならないと利益になる

そのような支払いは経費には認めないよということは、どこの誰に支払ったかわからないような「名前の言えない”あの人”」への支払いについては「あなたが税金を負担しろ!」ってなっているということですね。この意味わかりますか?だって、あなたの会社の経費にならないということは、その支払いについてはあなたの会社の利益になるってことですからね。

“あの人”への支払いは会社の利益になるだけではない

「名前の言えない”あの人”」への支払いは、あなたの会社の資金繰りをかなり悪化させます。

利益になると税金を代わりに納めることになる

お金は”あの人”のところに出て行ったけど、経費にできないということは、そのままあなたの会社の利益に跳ね返ってくるってことですからね。ということは、あなたの会社にはもうそんなお金は残っていないのに、名前の言えない”あの人”に渡した謝礼についても税金が払わされるってことですよ〜。そこんところ、ちゃんと理解しておいてくださいね。

さらに使徒秘匿金扱いにされることも

でも、それだけじゃないんです。この名前の言えない”あの人”への支払いのことを、税金の世界では「使徒秘匿金(しとひとくきん)!」と言います。そして、相手のことを秘匿する行為、つまり秘密にして隠そうとするような支払いについては、な、な、なんと、脱税した場合の重加算税(35%)よりも重い罰金(40%)を、あなたが負担させられる(払わされる)ことになるんですね。ここまで、しっかり覚えておいてくださいね。

名前の言えない相手へのお支払いは慎重に

今回は、名前の言えない”あの人”への支払いであなたにどのようなことが起きるのかについて解説してきました。名前の言えない”あの人”へ支払いをすると、経費にするための条件を満たさなくなってしまうので、その支払いは経費にならなくなります。経費にならないということは、あなたの会社の利益が増えるということです。お金はすでにあの人のもとに行ってしまいましたが、帳簿上はあなたの会社の利益になるということですね。

そのため、その利益に対して30%程度の税金がかかってきます。でもそれだけではありません。名前の言えない”あの人”の収入を隠していたということにもなるので、それが発覚すると重い罰金(40%)も負担しなければいけなくなります。そして国税のブラックリストに載ってしまうかもしれないですね。そうなると税務調査が数年おきに来るようになります。このように負の連鎖に陥ってしまうこともあるので、名前の言えない相手へのお支払いは慎重に行いましょうね。