非常勤役員という立場を活用した節税戦略とは?
Last updated on 2023年3月17日 By 杉田健吾
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前回のレクチャーでは「社長であっても給料(役員報酬)がゼロだったら社会保険に加入しなくてもいい(というか加入できない)」という話をしました。これ、法人の戦略としては意外と使えます。
法人を設立した場合には、「そもそも社長に給料(役員報酬)を出す必要があるのかないのか?」について、冷静に判断してほしいところです。この部分を最初にどうデザインするかによって、社長の手元に実質残るお金がまったく変わってきますからね。
さて、今回のレクチャーでは、さらに活用してほしい「非常勤役員」について解説をします。
非常勤役員ってなに?
手元に賢くお金を残したい方に、非常勤役員の活用をおすすめします。
非常勤役員は常に会社にいない
「非常勤役員ってなに?」ってなると思いますが、簡単にいうと「常勤でない役員」を指します。常勤とは、その言葉のとおり、会社にある程度の頻度で定期的に出勤しているということですよね。なので、会社にほとんど来ないし、会社の経営に対しても相談に乗る程度の役員のことを、非常勤役員と考えていただいたらいいですね。
非常勤役員とは例えばこんな人
「常に会社にいないのに役員を名乗ってもいいの?」と思われた方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれませんね。こんな方をイメージしてもらえたら分かりやすいかもしれません。
例えば、社長としてご活躍されていた方がお年を召され、ご勇退されたとします。ご勇退後は、「会長」として、会社の重要な会議など必要なときだけ、出勤することになりました。この場合、会長さんは非常勤役員という立場になります。どうでしょうか?非常勤役員のイメージが掴めましたか?
非常勤役員を賢く活用しよう!
僕が非常勤役員の活用をおすすめする理由は、非常勤役員は社会保険の加入資格がないと判断されることが多いからです。
年金暮らしのお母さんを会社の役員にした場合、非常勤役員になる
例えば、年金暮らしのお母さんに、あなたが設立した会社の役員になってもらったとします。お母さんには、ときどき経営の相談に乗ってもらって、役員報酬を月5万円出しています。この場合、お母さんはほとんどあなたの会社には出勤しないですよね。なので、このような形で役員になっているお母さんのことを多くの場合は非常勤役員といいます。
非常勤役員は社会保険に加入できないことが多い
このような非常勤役員のお母さんを、社会保険に加入しようとすると、年金事務所では多くの場合、非常勤役員で、役員報酬もこの程度で、実際の労務の内容も経営に対する相談程度であったなら、社会保険の加入資格は”満たしません!”と言われます。これはナイスな回答ですよね!
こちらとしては役員報酬をいくらかは支払いたいけれど、お母さんを社会保険に加入させたいわけではない。だったら、年金事務所が考える社会保険の加入資格に該当しなければ、そもそも社会保険に加入できないということですね。賢い社長なら法人の戦略として活用できるのを分かっていただけますよね。
まとめ
今回のレクチャーでは、非常勤役員という不思議な立場を活用した戦略を紹介しました。今回のポイントは次の3つです。
・非常勤役員とはほとんど会社に来ない役員のこと
・非常勤役員は社会保険に加入できないことが多い
・両親を役員にするときは非常勤役員という立場を活用するのがおすすめ
ぜひ非常勤役員という立場を活用して、賢く手元にお金を残していきましょう。僕のレクチャーではこんな感じでひとり起業家のタメになる話をしています。気になる方は他のレクチャーもチェックしてみてくださいね。