社員の社宅は節税にならない?会社負担なく節税する方法を解説

Last updated on 2023年2月23日 By 杉田健吾

これまでの記事で、社長の自宅を社宅化するメリットについて、いろいろと書いてきました。その記事を見て住宅規程を作ろうと思った人も多いのではないでしょうか。

しかし、みなさんの中には「社長の自宅を社宅化するメリットは、よ〜くわかった!でも、社員(スタッフ)の社宅にはメリットがないの?」って思った人もいると思います。そう思った方は、社長としてかなり成長していますね。節税脳が鍛えられてきた証拠です。

そこで今回は、社員の社宅は節税になるのかについて解説していきます。

今回の内容は

社員の社宅でも節税できる

社宅は会社にも社員にも得がある
社宅は社員のため?会社の負担は重くなる?
社員の給料を家賃分低く設定する
給料を少なくすると手取りが増える

社宅で社会保険料がどのくらい減る?
月給30万円を1人雇っている場合
月給30万円を複数人雇っている場合

社員の社宅で社会保険料を削減しよう

社員の社宅でも節税できる

僕は基本的に「ひとり起業家」「ひとり社長」「ひとりビジネスをされている方」を中心とした節税方法等を書いています。だからといって、ひとり起業家しか使えない節税ってことではありません。

このサイトで紹介している節税方法は、ひとり起業家が活用したら効果が高い方法です。しかし、スタッフや社員さんがいる会社では効果がないかと言われたら、そうではないんですね。このあたりに気づくか気づかないかが、ポイントですね。

もちろん住宅規程も例外ではなく、これまでの記事で紹介してきた方法を使えば、社員の社宅でも節税ができます。しかも、社員さんの人数が多ければ多いほど節税効果は大きくなるので、社員がいる方はしっかり理解しておきましょう。

社宅は会社にも社員にも得がある

そもそも社宅制度って、大企業は普通にやっているじゃないですか。ではなんで、そんな制度があると思いますか?一番は社員のためですよね。

社宅は社員のため?会社の負担は重くなる?

社宅制度はすごくいい制度ですよね。社宅を作るのって、社員の「住」に対する負担を少しでも軽くしてあげて、自社で元気に働いてもらうためですよね。社員からしたらすごく嬉しい制度です。

だって、自分で借りて住んだら20万円かかる家賃を、会社が9割の18万円も負担してくれて、自己負担は2万円だけでいいんですから。2万円払うだけで20万円の家賃のマンションに住めるって、すごく魅力的ですよね。そんな会社があったら入社しようかな〜って思いますよね。

ここからがポイントなのですが、会社としたら社員の自宅の家賃9割も負担したら、会社の持ち出しが多くなって会社のお金がなくなるじゃんって普通は思いますよね。だから、会社が社員のためにそこまでお金は使えないよ〜ってなると思います。

社員の給料を家賃分低く設定する

それでは、家賃の9割を負担してあげるかわりに、給料の額面を減らしたらどうなると思いますか?実は、額面は減らしたとしても、社員の手取り額は増えるということなんです。ここが味噌なんですね。わかりますか?ちょっと、わかりづらいですかね?

例えば、社員の給料の相場が月30万円の場合、10万円の社宅を会社が借りて社員に住まわせてあげたとします。社員に1万円だけ自己負担してもらって、9万円の家賃は会社が負担してあげる。その代わりに、社員の給料の額面は会社負担分の9万円を減らすんです。つまり、社員の給料は月21万円にするってことです。

社員は月21万円の中から、家賃1万円を支払うので、手許に20万円が残ります。つまり、給料で30万円もらって、家賃で10万円支払う時と同じですね。しかし、会社が家賃を9割支払うことで何が起こるか、わかりますか?

給料を少なくすると手取りが増える

社員さんの給料の額面は相場より低めです。しかし、1ルームマンションに1万円の自己負担で住めるという特典があります。さらに、給料の額面を抑えているので、本人の税金と社会保険料が減ります。結果的に、社員さん本人の手取りは増えるということになります。さらに会社側からすると、社員の給料の額面が減るので社会保険料の会社負担分が大きく減るというわけなんです。

社宅で社会保険料がどのくらい減る?

社宅で社会保険が減ると言っても、どのくらい減るのか気になりますよね。そこで、どのくらい減るのかを簡単に計算してみました。

月給30万円を1人雇っている場合

例えば月給30万円の社員に対して、9万円分の家賃を会社が負担をして、給料の額面を21万円にしたとします。すると単純計算で、社員1人あたり手取りが月2万円増え、会社の社会保険料は月1.3万円減ることになります。年間額にすると、社員1人あたり手取りが24万円増え、会社の社会保険料は16万円減ることになるんです。

つまり、社員さんは24万円も手取りが増えて嬉しいし、会社も16万円社会保険料が減って

嬉しい。お互いWin-Winの制度ですね。

月給30万円を複数人雇っている場合

社員1人で16万円の社会保険料が削減できるなら、社員が多い会社はどうなるでしょう。もし、社員さんが20人いる会社だったら、いくらの社会保険料の削減になりますか?16万円×20人 = 320万円。なんと年間320万円も減るんです!

社員50人の会社なら16万円×50人 = 800万円。なんと800万円の削減ですよ!社員100名の会社なら1600万円!!社員1000人の会社なら1億6000万円!!!にもなる。大企業が、福利厚生の充実と言って、社員の家賃を負担する理由がわかりますよね。

まあ、これはあくまで単純計算の理論上の話なので、ここまでうまくはいかないかもしれません。(注:保証金や礼金の負担も考慮する必要があります。)でも、やらないよりはやったほうが、かなりのお金が残ることには変わりありませんよね。

社員の社宅で社会保険料を削減しよう

今回は、社員の社宅は節税になるのかについて解説してきました。社員の社宅は、社員のみならず会社にも利益があるので、まさにWin-Winの制度ですね。ということで、やっぱ知らないのと、知った上でしっかり検討して活用するのとでは、長い目で見るとお金の残し方は大きく変わりますよね。

ではでは、今日はこの辺で。