稼いだお金を個人で残すってどうやって?

Last updated on 2024年1月19日 By 杉田健吾

前回のレクチャーでは稼いだお金って法人で残したほうが良いの?個人で残したほうが良いの?って話をしましたね。そして結論から言うと、ひとり社長の会社や親族だけの同族会社では、稼いだお金はできるだけ個人で残せるようにしたいねという話でしたね。その上で、法人と個人の税負担を絶妙のバランスで最適化できたらいいなあ〜という話をしました。

これってもしかしたら、何を言っているのか分からなかった方も多かったのかもしれませんね。そこで今回は、個人と法人ではあなた個人の取り分が変わってくること、法人のほうがお金を残すのに有利なことについて、もう少し詳しく解説していきます。

今回の内容は

個人事業の場合、経費が少なく税金が多くなりがち
個人事業の場合、収入と経費で税金が決まる
個人事業は無理やり経費を増やそうにも限界がある

法人だと役員報酬を活用して節税できる
法人なら給与所得控除で経費を増やせる
給与所得控除で半分近くも勝手に経費になることも
社会保険にも気を付けて最適化しよう

役員報酬等を使って税金等を最適化しましょう

個人事業の場合、経費が少なく税金が多くなりがち

法人と比較するために、はじめに個人事業だった場合のあなたの利益について確認してみましょう。

個人事業の場合、収入と経費で税金が決まる

個人で事業をしていると社長(個人なので正確には事業主)の取り分って、給料ではなく基本は収入から経費を引いた残りがすべてだよ!って決められてしまいます。「収入ー経費=あなたの取り分」なのであなたの取り分に対して税金はこれだけねって言われます。なので個人の利益をコントロールしようとすると、無理矢理にでも経費を持ってこないといけないわけです。

個人事業は無理やり経費を増やそうにも限界がある

例えば、家でプライベートで使う電化製品から、家で家族で食べる食材、飲み物、ビールにワイン、もうひどい人になるとケチャップからマヨネーズまで、ええ〜いワンちゃんに猫ちゃんに金魚の餌も経費だ〜っていう人もいます。もう何でもかんでも経費にぶち込む〜みたいな人ですね。まあ気持ちはわかります。僕はダメとは言いません。だって個人事業主って、まともにやってたら経費少なってなりますからね。個人事業主の方は、無理やりにでも経費を増やすことを頑張らないと節税ができない。

法人だと役員報酬を活用して節税できる

次に法人の利益について確認します。ここでのポイントの一つは、役員報酬を賢く活用してねってことです。

法人なら給与所得控除で経費を増やせる

あなたが法人の社長ならば「収入ー経費=利益」ここからあなたの取り分である社長の給料はいくらにしますか?奥さんの給料はいくらにしますか?おばあちゃんも手伝ってくれてるから給料だそうか?息子や娘にも給料いくらにする?という具合に、なんと法人の利益を賢く個人に移転することができるんです。しかも嬉しいのは、会社から給料として支払うと、給与所得控除と言って、ここからさらに国が勝手に経費を追加で引いてくれるんですね。おお〜なんて太っ腹〜。

給与所得控除で半分近くも勝手に経費になることも

例えば、

  • 社長の給料が500万円
  • 奥さんの給料が300万円
  • おばあちゃんが100万円
  • 息子が65万円
  • 娘が65万円

として、家族で1030万円(年間)の給料をもらったとしたら、これに対して国が勝手に経費として、

  • 社長に144万円
  • 奥さんに 98万円
  • おばあちゃんに55万円
  • 息子に55万円
  • 娘に55万円

絞めて407万円も勝手に経費にしてくれる。以前からは少し減りましたが、それでも大きい額ですよね。なんと約半分近くも経費が追加で生まれるってことです。何もしてないのに月に34万円もの経費が生まれたんですね〜。どうです?月に34万円も経費が増えるんだったら、わざわざマヨネーズのレシートや金魚の餌まで持ち出す必要はないですよね。こ〜んなことが可能なのが、法人の社長の面白いところであり、腕の見せ所ですよね。

社会保険にも気を付けて最適化しよう

ただし法人税等を低くしようとして、あまり給料を高くしすぎると今度は社会保険料っていうのが高くなってくるのでご注意ください。社会保険に入っていない社長なら気にする必要はありませんが、そこは賢くシュミレーションして税金等の最適化を図っていくってことですよね。これも知っているか、知っていないか?自分で守るか、されるがままでいるか?どちらかを選んでくださいね。

役員報酬等を使って税金等を最適化しましょう

今回は、個人と法人ではあなた個人の取り分が変わってくることと、法人のほうがお金を残すのに有利なことについて解説してきました。個人事業の場合、個人事業とあなた個人の違いはありません。なので、個人事業で得た収入から経費を引いたものがあなたの取り分となります。あなたの取り分が多くなることは嬉しいことですが、取り分が多くなると税金等でたくさん持っていかれるというジレンマがあります。

一方法人の場合は、「収入ー経費=利益」からあなたや家族の取り分を決めることができます。そのため、法人の利益が少なくなり法人税等を削減できます。しかもあなたや家族の取り分である役員報酬等には給与所得控除があり、取り分にまるまる税金がかかるわけではありません。これも個人事業にはないメリットのひとつです。家族に上手に利益を分配すれば給与所得控除だけでも利益の半分近くの経費が勝手に追加される場合もあります。

こうやって役員報酬や法人の税金対策を使って上手に法人のお金を個人のお金に変えましょう。ただし、個人の取り分をあまり多くし過ぎると所得税の税率が上がりますし、社会保険料も高額になるので、法人税等とのバランスを上手に取ることが重要ですよ。どのくらい個人の取り分にすれば良いかは人によって違いますが、シミュレーションしてみればわかりますからね~。