日本の法人の7割が赤字って知ってた?

Last updated on 2023年6月19日 By 杉田健吾

前々回のレクチャーの「日本の税率はこんなに高いの?」という話の中で、「日本の法人数は約270万社ですが、そのうちの約180万社は赤字法人だということをご存知ですか?なんと赤字法人の割合が7割近いんです。」という話をしました。覚えていますか?

その時には具体的な話はしなかったのですが興味を持たれた方が多かったので、今回は赤字法人が倒産しない大きな理由の1つを紹介します。

今回の内容は

赤字法人の中には本当は赤字ではない会社もある

赤字の繰り越しで赤字法人になっている
赤字の繰り越しとは
約70万社が赤字の繰り越しで利益ゼロ

赤字法人が倒産しない理由を知ってどうする?

赤字法人の中には本当は赤字ではない会社もある

日本の法人約270万社のうち180万社が赤字法人ってことは、つまり全体の3分の2の法人は法人税を払っていない?ということなんです。信じられますか?そしてこの数字が意味するところ、あなたはわかっていただけましたか?なぜ日本の全法人の中の7割もの法人が赤字なのか?そして、赤字なのになぜ倒産せずに法人を継続していられるのか?

これ、実は赤字の法人の中には2種類の法人があると言われているんです。それが、本当に赤字の会社と、本当は赤字ではないのに赤字になっている会社です。えっ?どういう意味?って思いますよね。そこには日本の税法をうまく活用した節税方法が関係しているんです。

赤字の繰り越しで赤字法人になっている

赤字法人が多い大きな理由の1つが、赤字の繰越(欠損金の控除)なんです。実は法人で青色申告をしていると、なんと赤字が10年も繰り越せるんです。個人事業では3年しか繰越せないのでかなり優遇されていますね。

赤字の繰り越しとは

赤字の繰り越しが何かというと、例えば1年目が1000万円の赤字だったとしたら、その1年目の赤字が10年間も繰り越せるということです。つまり2年目以降は実際には黒字だったとしても、1年目の赤字がなくなるまでは黒字じゃないことにできるというわけですね。

例えば1年目に1000万円の赤字を計上していたら、2年目以降毎年100万円の黒字が出ていても10年間は利益ゼロにできるんです。

2年目 100万円の黒字→0円(赤字残高900万円)

3年目 100万円の黒字→0円(赤字残高800万円)

4年目 100万円の黒字→0円(赤字残高700万円)

5年目 100万円の黒字→0円(赤字残高600万円)

6年目 100万円の黒字→0円(赤字残高500万円)

7年目 100万円の黒字→0円(赤字残高400万円)

8年目 100万円の黒字→0円(赤字残高300万円)

9年目 100万円の黒字→0円(赤字残高200万円)

10年目100万円の黒字→0円(赤字残高100万円)

11年目 100万円の黒字→0円(赤字残高0万円)

約70万社が赤字の繰り越しで利益ゼロ

これはすごいですよね。いったい何年間法人税を支払わなくていいの?って話です。そして実際のところ赤字法人のうち4割はこの方法で、実際には黒字だけど赤字の繰越で利益がゼロになっている法人だと言われています。ということは約180万社の赤字法人のうち約70万社程度は、実際には黒字だけど赤字の繰越で利益がゼロになって法人税を払っていない会社ということになりますね。

これもマジか〜ですよね。ついでにもっと言うと、この赤字の繰越の残高、つまり来年度以降に繰り越す赤字の残高が、なんと日本全体で約70兆円もあるんです。かなり大きな数字ですよね。国家予算並みの大きさです。そして70兆円を70万社で平均すると1社平均で1億円の赤字の繰越になるんです。もう意味わからんですよね。

赤字法人が倒産しない理由を知ってどうする?

今回は赤字法人が倒産しない理由の1つを紹介しました。今回紹介した赤字の繰り越しで利益をゼロにする方法は、約70万社が活用する王道の節税方法と言えるかもしれません。赤字法人の約4割、日本の全法人約270万社の4分の1以上がこの方法を使って法人税をほぼゼロにしているんです。

ということで日本の法人の実態わかっていただけましたか?そしてこれをどう考えるかはあなたにお任せしますね。このように節税する方法がたくさんあるのも法人の良いところです。個人事業の方は事業が軌道に乗ってきたら法人化を考えてみてはいかがでしょうか?それではまた。