息子に業務委託料を支払っても大丈夫?
Last updated on 2023年6月2日 By 杉田健吾
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息子が事業を手伝ってくれるって言っているけど、できれば息子への報酬も節税につながる経費にしたいですよね。息子への報酬も、業務委託料で渡すか給料として渡すかで、税金や社会保険料などが変わります。そして、業務委託料として支払った方が、会社には有利です。
しかし国税は身内への報酬には厳しく、何も考えずに報酬を支払っていると税務調査に入られたときに指摘される可能性があります。指摘されると、源泉所得税や消費税を後から支払わなければいけなくなるので注意しましょう。そこで今回は、息子に業務委託料を支払う方法について解説していきます。
業務委託料と給料どっちになるの?
前々回のレクチャーから、そろそろ人を雇いたいなと思った時に、給料として支払うか、業務委託(外注)として支払うかどっちがいいの?という話をしてきました。その話の中で、「請負(業務委託)」と「雇用(給料)」の違いについてざっくり書きましたが、理解していただけたでしょうか?ざっとおさらいしましょう。
請負契約なら業務委託料
「請負」とは、仕事の完成が目的で、仕事の完成という結果に対して報酬を支払う取引形態のことです。例えば、家の建築や家具等の製作や修理、ホームページ等の作成などが請負契約です。何かを完成するという結果に対して報酬を支払うという取引形態ですね。
雇用契約なら給料
請負に対して「雇用」とは、労働の供給自体が目的のものです。つまり、何か労働をしてもらったことに対して報酬を支払うという取引形態です。例えば、これだけの時間仕事をしてくれたから報酬払うね。みたいな時給計算で支払う場合のことでしたね。
息子に業務委託料を払うなら取引形態に気を付ける
「請負(業務委託)」と「雇用(給料)」の違い、なんとなく理解していただけたでしょうか。それでは、今日のテーマ「息子に業務委託料を払っても大丈夫?」ですが、どう思いますか?実はこれ、なかなかハードルが高いんです。なぜなら、前から何度も書いていますが、国税って身内に対する支払いにはうるさいからですね。
何かとイチャモンをつけたがるんです。だからといって、息子だから業務委託料は支払えないかというとそうではありません。業務委託の形態が整っていれば、つまりちゃんと「請負」としての取引形態が形式も実態も整っていれば、業務委託料を支払うことは可能なんです。例えば、息子さんに会社の経理業務をやってもらう場合を考えてみましょう。
給料になってしまう例
なんの取り決めもなく、ただ経理入力をやってもらって、その経理入力という労働に対して報酬を支払ったら、もちろん業務委託料ではなく給料って言われます。これはまさに息子さんの労働の供給自体が目的となっていて、その労働に従事してもらうことに対して報酬が支払われているから給料でしょ?ってことですね。
業務委託料にできる例
しかし、これが息子さんが労働に従事して経理作業をこなすということではなく、
- 毎月の売掛金の管理業務という結果に対していくらの報酬を支払う
- 毎月の経理入力を完了させるという結果に対して報酬を支払う
というような、ある程度の仕事のかたまりの結果に対して報酬を支払うという取引形態にできたなら、これは「請負業務」といえます。そのため、給料ではなく業務委託料として報酬を支払えることになるんですね。
業務委託料と給料どっちになるの?
今回は、息子に業務委託料を支払う方法について解説してきました。息子に業務委託料を支払いたければ、請負契約にして形式も実態も揃える必要があります。なんの取り決めもなく仕事を依頼してしまうと、給料としてみなされてしまう可能性があります。業務委託料にしたい場合は、まとめて仕事を依頼し、その仕事の完成の対価として報酬を支払うようにしましょう。
ただし、この辺りも身内への支払いには国税はやはりうるさいんです。なのでどうしても息子や身内に業務委託料として報酬を支払いたいなら、ここに注意してねっていうポイントがあります。ちょっと長くなるので、その辺りはまた次回書きますね。それではまた。次回をお楽しみに。