全額経費をいう甘い言葉、、、
Last updated on 2023年6月22日 By 杉田健吾
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前回のレクチャーでは、経営セーフティー共済とか一部の生命保険など全額経費になるとうたっている商品のほとんどが、本当の意味で節税にはならないんですよという話をしました。そして、それらの商品はお金が残る節税とは違うんですよという話をしました。
今回はなぜそのような商品が本当の意味での節税にならないのかを具体例を挙げて解説していきます。
支払った損金は、戻ってきたら益金
以前のレクチャーで、全額経費になるからという甘い言葉には注意してねという話をしました。その理由は、全額経費になるとうたっている節税商品って、多くの場合本当に節税効果があるものってほとんどないからです。
これはどういうことかというと、税の世界では支払った時に損金(経費)になったものは戻ってきた時には益金(収入)になるという大前提があるからでしたよね。支払った時に全額経費になると言われると、その時には税金はかからないので節税になったような気がするんですよね。ほんとに。
でも、満期や解約して返戻を受けた時には、売上と一緒で会社の収入になるので、その時にガバッと税金とられるんですよ。だから本当は、そこまで考えてやるかやらないか?考えるべきなんです。
経営セーフティ共済でシミュレーション
戻ってきた時に益金(収入)になるということをもう少し詳しく解説します。今回はあなたが全額損金になる節税商品にお金を支払った場合を考えてみます。
200万円支払ったら60万円の節税?
例えば経営セーフティ共済に200万円支払ったとしたら、その支払った時は確かに200万円の掛金が全額経費になります。なので、例えば法人税の税率が30%だったとしたら、200万円×30%=60万円の法人税が軽減されるというのはわかりますよね。
200万円戻ってきたら60万円の増税
しかし、先ほどの税の世界の大前提からするとどうなるかというと、支払った時に損金(経費)になったものは戻ってきた時には益金(収入)になるのでしたね。つまり200万円の掛金を支払った時には確かに全額経費になるのでその時は税金が60万円の減りますが、解約してお金が戻ってきたときには、全額益金(収入)になるのでそのときにガバッと税金がかかるということです。
つまり経営セーフティ共済を解約して200万円のお金が戻ってきたときに、200万円×30%=60万円の法人税を払わされるって話ですね。あれ?だったらなんも節税になってね〜じゃんって話ですね。
資金が長期間拘束されるデメリットも
しかも、この経営セーフティ共済って40ヶ月以上掛金を積んでから解約しないと、掛金が目減りしますからね。つまり、200万円支払っても200万円を下回る金額しか返ってきませんからね。つまり、40ヶ月(3年4ヶ月)の期間は、せっかくの事業資金を寝かすことになるってことです。このことだけはしっかり考えてやるかやらないか考えてくださいね。
節税商品は節税にならない可能性が高い
今回は経営セーフティ共済を例に、なぜそのような商品が本当の意味での節税にならないのかを解説してきました。今回のシミュレーションでも分かった通り、納税の繰り延べにはなっていますが、納税額は全く変わっていませんね。所得が減ったり法律が変わったりして税率が下がった時に解約すれば、多少節税にはなるんですけどね。資金が拘束されるデメリットもあるので、そこのところはしっかり考えましょう。