法人なら赤字を10年繰り越せる?

Last updated on 2023年9月25日 By 杉田健吾

個人事業主は赤字を最大3年しか繰り越せませんが、法人になると最大10年繰り越せるって知っていましたか?数字だけではピンっと来ないかもしれませんが、実はこれ、かなり有利な特典なんです。だって赤字を繰り越すのは、利益が出た年の利益と相殺するためじゃないですか。そして3年間で利益がでる確率より、10年で利益がでる確率の方が圧倒的に高いわけです。だから赤字を有効活用するなら法人が良いよってことです。

そこで今回は、起業するなら早く法人を作って赤字を10年繰り越そうという話をしていきます。

今回の内容は

法人になると赤字を10年繰り越せる
法人を作って、せっせと赤字貯金するのがおすすめ
将来起業したいなら法人作ればいいのに

法人を作って1000万円の赤字があったら
1年目が300万円の利益があっても法人税は均等割のみ
2年目に300万円の利益があっても法人税は均等割のみ
3年目に500万円の利益があったら税金対策

早く法人を作って赤字貯金を始めましょう

法人になると赤字を10年繰り越せる

法人にするメリットのひとつに「青色申告の承認申請を受けると赤字が10年間繰り越せる」というものがあります。先日も僕のクライアントさんで、「赤字を10年繰り越せる」の意味をよくわかっておられない方がいたので、ここで解説しておきますね。

法人を作って、せっせと赤字貯金するのがおすすめ

例えば、あなたが会社員時代に法人を設立したとします。そして、その法人を賢く使ってせっせと経費を使ったとします。まあ経費を使うと言っても、起業の準備のためにいろいろと学びにいく費用や、人に会いにいく費用や、そのために購入する備品や、もっと言えば懇親会の費用など、あなたが設立した法人の事業に関係する支出をぜ〜んぶ経費にしてしまいます。

そうするとどんどん経費が貯まっていきますね。設立した法人では、まだ売上は発生してないので法人にはお金がないのですよね。だったら誰がその経費のお金を支払うの?ってなりますよね。それはもちろん、その法人を設立した「あなた」なのですが、そのあなたがポケットマネーで支払ったお金をぜ〜んぶ法人の経費にしておくってことです。つまりあなたが会社にお金を貸して、会社は赤字を貯金するわけです。これを僕は赤字貯金と言っています。

将来起業したいなら法人作ればいいのに

僕は、会社にお勤めの方で将来起業したいな〜って考えてる方は、みんな早く会社(法人)を作ったらいいのになあって思います。でもね、だいたいね、みんな起業するまでに3年以上はかかっているんです。長い方なんか、私もいつかは起業するぞ〜って10年経っている。それでその間に何をやっているかというと、せっせといろんなセミナー等を受講して、かなりのお金を使っているんです。

法人を作って1000万円の赤字があったら

僕の知り合いなんか、3年で1000万円以上は学びに使ってるよ〜って言ってました。これ、あなたはどう思いますか?法人を作っていたら、その1000万円の支払いを経費にして赤字貯金にできたよね。そしたらその1000万円の赤字を10年間繰り越せたよねって思いませんか?

1年目が300万円の利益があっても法人税は均等割のみ

1000万円の赤字を繰り越せたら、その次の年に利益が例えば300万円出たとしても、赤字の繰越が1000万円あるのでその300万円の利益は”0”になり、税金はかからない(均等割の7万円はかかりますが)。しかも、10年繰り越せるのだから、1000万円ー300万円=700万円

の赤字貯金がまだ残っているということになる。

2年目に300万円の利益があっても法人税は均等割のみ

そして、その次の年にも300万円の利益が出たとしても、赤字貯金がまだ700万円残っているので、この利益300万円も”0”になって税金はかからない。そして700万円ー300万円=400万円なので、まだ400万円の赤字貯金が残っているというわけです。

3年目に500万円の利益があったら税金対策

その次の年にちょっと頑張ったので500万円の利益が出たとしたら、利益500万円ー赤字貯金400万円=税金のかかる利益(所得)100万円となって、このままだとこの100万円に税金がかかる。それが嫌なら、この年に例えば4年落ちの200万円ぐらいの中古車を法人で買えば(もちろん必要があればですがね)、またまた赤字が増えるので税金はかからないというわけですね。

早く法人を作って赤字貯金を始めましょう

今回は、起業するなら早く法人を作って赤字を10年繰り越そうという話をしてきました。法人のメリットのひとつが、「青色申告の承認申請を受けると赤字が10年間繰り越せる」というものです。法人なら赤字を10年も繰り越せるので、事業が軌道に乗らないうちから法人を作って経費を計上して、赤字を貯めておいた方がお得です。

だって、起業するためにはいろいろとお金使うじゃないですか。備品とか交通費とか交際費とかセミナー費とか。それらを全部、法人の経費として計上してしまいます。そして、事業が軌道に乗って利益が出たら、赤字貯金と相殺すれば良いんです。そうすれば、利益を”0”にできるので税金がかからない。しかも相殺したお金は、現金として会社に残したり、社長のあなたに無税で返済することもできます。

赤字貯金が無くなってきたら、大きな買い物をしてまたまた赤字貯金を増やせば、またまた利益を”0”にできます。法人ならこんな赤字の使い方もできるということを覚えておいてくださいね。赤字貯金のためにも、早く法人を作ってみてはいかがでしょうか。それではまた。