タンス預金はなぜバレる?
Last updated on 2023年10月16日 By 杉田健吾
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前回のレクチャーではタンス預金は脱税なのか?という話をしました。そこでタンス預金の出所で脱税になるかならないかが決まりますよという話をしました。しかし、ずっとタンス預金をしていると脱税になるかもしれないよという話をしましたね。ビックリした方もいたのではないでしょうか。そこで今回は、なぜタンス預金していると脱税になるのか、なぜタンス預金がバレるのかについてお話しします。
税金の計算に含めてからタンス預金する
前回のレクチャーの中で、よくあるタンス預金で脱税というパターンは、事業で稼いだ売上の一部をタンスにせっせと隠して(預金して)そもそも売上に計上しない。その隠した売上金は確定申告の収入金額には含めずに税金の計算の対象から除いているから脱税になるということでしたね。
なのでタンスに預金してるからすぐに脱税になるのではなくて、そのタンスに仕舞ったお金ってちゃんと税金の計算に含めてる?それとも含めていない?それによって脱税かどうかが決まりますよ〜という話でしたね。ただね。そうは言ってもこのタンス預金、一度はちゃんと税金の計算に含めたとしても、ず〜っと持ってると今度は脱税になることもあります。
タンス預金で相続税対策になる?
実は、タンス預金をする人の多くの理由は、相続税の脱税!なんですね。ちなみに相続税って死亡した方の財産を相続したときにかかる税金ですよね。
相続税の対象になる財産とは
ではこの相続した財産ってどんなものが対象になるのか知っていますか?例えばこんなものが対象です。
- 現金
- 預貯金
- 有価証券
- 金銀等宝石
- 土地・建物
- 貸付金
- 特許権・著作権
- 生命保険の死亡保険金等
- など
タンス預金も相続税の対象になる
これらが代表的なものですが、さてここであなたがせっせと貯めたタンス預金には、相続税がかかるのでしょうか?ははは、簡単でしたね。タンス預金って現金をタンスに仕舞っていることなので、そのタンス預金が配偶者や子供さんに相続されたらもちろん相続税の対象になります。
えっ?一回税金取られたお金をタンスに仕舞ってただけなのに、その現金にもまた相続税って取られるの?って思いますよね。残念ながらそうなんです。それが相続税ってやつなんです。
タンス預金ならバレないのでは?
ただね。タンス預金をする人の多くは、このタンス預金って言わなければバレないって思っているんですね。
亡くなる前に銀行から引き出してタンス預金
でね、よくあるパターンの一つが、例えばあなたのお父さんが高齢でそろそろ危ないとなった場合です。いざ亡くなってしまうと銀行の預金等は勝手に引き出せなくなりますよね。なのでそれを避けるために早めに預金を引き出して、その現金をタンス預金としておくなんてことありますよね。
だって預金として銀行に置いたままだと、お父さんが亡くなってしまった後にあなたが勝手に預金を引き出せなくなります。そして相続人全員の印鑑をもらわないと預金を引き出せなくなりますからね。そりゃ〜困るということで、亡くなる前か亡くなってからすぐに(銀行に知られる前に)引き出したりしますよね。
故人の預金口座の履歴もしっかり見られます
そして現金でタンス預金にしておくことになると思います。このタンス預金ってタンスの中に隠してあるのだから言わなきゃバレないやんって多くの方は思ってしまいますよね。でも、その前に銀行の預金口座から引き出したという記録が残っていますよね。そこを税務署は必ず見ます。
そして、あれ?この何日に引き出しておられる3000万円ってどこにありますか?と聞かれて、「えっ?あっ?それ、えっと〜パーっと使っちゃいました。」とか「泥棒に持っていかれました〜」なんて苦しい嘘をついてもさすがにダメって話ですよね。
相続税対策でタンス預金してもバレる可能性が高い
今回はなぜタンス預金していると脱税になるのか、なぜタンス預金がバレるのかについてお話ししました。タンス預金をしている人の多くが、相続税対策としてタンス預金しています。銀行に現金を預けていれば相続税がかかりますし、相続人が受け取るまでに多くの書類と時間が必要になります。そのため、亡くなる前に銀行から現金を引き出して、タンスに預金しておくんですね。しかしそのタンス預金で相続税が回避できるわけではありません。
そのお金を葬儀費用などに使うのは問題ありません。相続税もかかりません。しかし、私用で使った場合は、亡くなる前であっても生前贈与とみなされ贈与税の対象になります。タンス預金だからバレないと思っている人も多いですが、個人の銀行口座はしっかりチェックされるのでバレます。まあねそれ以外にもバレる方法はいろいろあります。そこはあまり無茶をするとあとで痛い目に合うことになるので、くれぐれもご注意してくださいね。