社長もボーナス欲しいよね!ボーナスを出すときの注意点を紹介!

Last updated on 2023年4月7日 By 杉田健吾

やっぱり社長もボーナス欲しいですよね。しかし、社長が賞与をもらうためには、いくつか注意点があります。なにも考えずに社長に賞与をだすと、経費として認められないんです。

今回のレクチャーでは、社長に賞与をだすときの注意点を紹介します。

今回の内容は

社長の賞与は経費にならない?
個人的な買い物が社長の賞与になってしまう!?
社長の賞与は基本的には損金不算入

それでもやっぱり社長もボーナスが欲しい!
社長の給料は毎月定額でないといけない
社長の賞与は「事前確定届出給与」という
「事前確定届出給与」は事前に届出をする必要がある

まとめ

社長の賞与は経費にならない?

社長の賞与は「役員賞与の損金不算入」といって経費にならない可能性があります。以前こんな恐ろしい話がありました。

個人的な買い物が社長の賞与になってしまう!?

ある会社で4年落ちの中古のBMWを買って、会社の経費にしていました。税務調査があったとき、実はBMWを会社においておらず、大学生で遠方に下宿している息子さんが乗っているということが判明したんです。息子さんは会社の役員ではないので、もちろん会社の経費にはなりません。

経費にならないとどうなるか…、なんと社長の賞与になってしまうおそれがあるんです!なぜなら、息子さんが乗っているBMWは本来であれば、社長が個人のお金で買うべきものですよね。それを会社が買って、社長にプレゼントしたのだから、「賞与をもらったのと同じ」と判断されてしまうんです。

社長の賞与は基本的には損金不算入

「賞与がもらえるの?やった~!」と喜んでいる場合ではありません。社長の賞与は基本的には損金不算入といって、会社の経費にはならないんです。しかも、会社の経費にならないにもかかわらず、社長側は所得税が課されてしまうんですよ。もしBMWが500万円だとすると、法人税150万円、所得税150万円、消費税40万円を追加で払わないといけなくなり、さらに加算税や延滞税という罰金までとられてしまいます。

会社の事業に関係しない個人的な買い物をなんでもかんでも経費に入れていると、こんな風に、「社長の賞与だ!」って言われて、法人税、所得税、消費税のトリプルパンチくらって、さらには罰金まで取られて、何やってるかわからなくなるので、くれぐれもむちゃくちゃはしないでくださいね。

それでもやっぱり社長もボーナスが欲しい!

しかし、そうはいってもやっぱり社長もボーナスが欲しいですよね。今回のレクチャーの本題はここからです。

社長の給料は毎月定額でないといけない

社長とか会社の役員の給料は「役員報酬」と言いますが、基本は年間を通じて毎月一定額でないとダメなんですね。当然残業代なんて出ません。社長の給料を月50万円と決めたら、1年間はこの50万円を勝手に増やしたり減らしたりできません。これを守らずに勝手に今月儲かったから社長にもボーナス払うね、なんてやってしまうと、「会社が勝手に社長にボーナス出すのは構わないけどそのボーナス(賞与)は経費にはなりません」って言われるんですね。

その結果、社長のボーナスについてはお金を払っているのに、会社の利益とみなされてその分を余分に法人税を払うことになるんです。それはちょっとひどいんじゃないのってなるので怖いですよね。だから社長にボーナスを出すときは気をつけないといけないんです。

社長の賞与は「事前確定届出給与」という

気をつけて計画的にやりさえすれば、社長にもボーナスって出せるんです。しかも経費にもできるんですよ。結構有名なので知っている人は知っていると思いますが、知らない社長も意外と多いので、今回のレクチャーでは取り上げます。

社長のボーナスのことを「事前確定届出給与」と言います。なんじゃそりゃ〜って名前ですよね。さすが国税庁が考えるネーミング、ダサくて分かりにくい。まあそれは置いといて、国税庁がわざわざ社長や役員にもボーナスが無いのはちょっとかわいそうだから、そろそろ認めてあげよう!と平成21年頃に新しく制度を作ってくれました。

以前は社長や役員にはボーナスなんて認められていませんでしたが、今は社長や役員にも出そうと思えばボーナスを出せて、しかも経費に認めてもらえるようになったんですね。これはありがたいですね。

「事前確定届出給与」は事前に届出をする必要がある

ただし、だからといって社員と同じように、金額を流動的に決めて出せるものでは無いということに注意してください。事前確定届出給与というダサいネーミングの通り、事前に金額と支払日を決めて(確定して)、事前に税務署に届出を出しておいて、さらに決めた支払日に1円の間違いもなくそのボーナスの金額を支払わないといけないんです。しかも、事前確定届出給与の届出を出せるのは、事前確定届出給与を定めた定時株主総会等から1ヶ月を経過する日までなど期日が決まっているので、出そうと思ったときに出せるものではないんですよね。ちょっと笑ってしまうようなガチガチのものになっています。

なので、こんな場合は全額が損金不算入になってしまいますので、要注意です。

・社長のボーナスを12月20日に300万円って決めていたのに、お金がないから100万円しか払えなかった

・12月20日に支払うの忘れてて、次の日に慌てて300万円支払った

・年に2回ボーナスを出すと決めていたのに、1回目しか出せなかった

相変わらず国が決めることって面白いですね。しかし、事前に決めてきちんと届け出て、きちんとその日に支払いさえすれば社長へのボーナスを経費にしてくれるんだったら実行できる会社はやってみてはいかがでしょうか。

月々の社長の給料30万円で、ボーナスは12月20日に300万円ね、とかってやっぱりちょっと嬉しいですからね。社長もボーナス欲しいと思う方は、税理士さんにきちんと相談してヘマをしないように、事前確定届出給与という制度を活用してくださいね。

まとめ

今回のレクチャーでは、社長のボーナスをだすときの注意点を紹介しました。今回のポイントは次の3つです。

・社長の賞与をなにも考えずにだすと、痛い目をみる

・社長に賞与をだすときは「事前確定届出給与」の届出を必ず提出する

・決めた日に必ず滞りなく賞与を支給しないと経費にならない

事前確定届出給与を活用して、社長もボーナスをもらいませんか?ただ社長の給料とかってあんまり払うと社会保険料がバカにならないので、注意してください。ちょっと支払い方を工夫することで社会保険料をかなり抑えることもできたりするので、気になる方は僕の他のレクチャーも読んでみてくださいね。