個人と法人の経費の範囲の違い、多くの起業家や税理士は勘違いしている。
Last updated on 2023年1月20日 By 杉田健吾
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あなたは「個人事業主が経費にできるものがかなり少ない理由」を知っていますか?
前回の記事では「個人事業主はなんでもかんでも経費にできない」という事実を、赤裸々にお伝えしました。びっくりされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事では、元国税で現在はひとり起業家(ひとり社長)専門のお金と税のコンサルタントである僕が、「個人事業主はなんでもかんでも経費にできない理由」と「経費にするたったひとつの方法」を紹介します。賢く節税をしたい個人事業主は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
前回のおさらい:個人事業主が経費にできるものはかなり少ない
本題へ入る前に、前回の記事のおさらいをしましょう。前回の記事を読んでいないという方は、まずはこちらの記事を読んでから、今回の記事を読んでいただくとよいと思います。
法人にすると経費の範囲が厳しくなるという嘘
個人と法人の経費の範囲について、多くの起業家や税理士さんは勘違いをしています。「個人の場合はなんでも経費になるけど法人になると経費の範囲は厳しくなる」という勘違いです。このブログで何度も書いてますが「その認識……まったくもって逆です!」というお話でしたよね。
なんでもかんでも経費にしている個人事業主は危ない!
本当のところは、個人事業で認められる必要経費は範囲がかなり限定されている!
よく耳にする「個人事業で何でもかんでも経費に入れても大丈夫」っていう噂は、滅多に税務調査なんて来ないので何でもかんでも経費に入れていてもとりあえずは大丈夫ですよ〜という意味でしたね。
でも、もし税務調査がきてしまったら、調査官からしたら「うっしっし( ̄∇ ̄)毎度あり〜ありがとうございます!いただきま〜す!」になってしまうということでした。経費として認められないものがあるということは所得が増えるということですから、追加で税金を納付しなければいけなくなるんですね。
必要経費として認められるための条件とは?
実は個人事業で経費になる、つまり必要経費として認められるためには条件があります。「条件なんてあるの?知らなかった!」という方は必見です。知らないと税務調査で痛い目をみることになってしまいますよ。
2つの条件を満たす必要がある
以下の2つをどちらも満たす必要があります。
①事業活動に”直接”関連していること
②その事業活動に必要であること
この2点が、事業者本人の”主観的”な判断ではなく、”客観的”に誰が見てもわかるようになっていないといけないという原則があるんですね。
客観的に誰が見ても分かるとは?
客観的に誰が見ても分かるとはどういうことか掘り下げてみましょう。あなたが残した領収書を第3者が見たときに「その支払いは明らかにあなたの事業の売上を上げるために必要だよね」と分かることが必要という意味です。
これどうです?あなたが今年3月に確定申告をした経費にかかる領収書ってこの条件クリアしてますか?
起業家仲間と食事に行った支払いは必要経費になる?
あなたもこんなものを経費として申告しているんじゃないでしょうか。例えば、起業家仲間と3人で食事に行った際の領収書やレシート……、ありますよね。その領収書を他人が見て「おお、これは明らかにあなたのその事業の売上を上げるために必要な支払いだよね」って分かります?
ふつう……分からないですよね(笑)だって領収書やレシート見ただけだと判断できないから。だからこの場合、本当は厳密に言うと「必要経費には認められない。アウト〜!」ということです。
「まじか?そんなこと言ったら、どの領収書やレシートを見てもわからんぞ〜」って声が聞こえてきそうですが…(笑)。だからよく「領収書の裏にはあなたの事業に関係する『誰』と『なんの目的』で行ったのか書いておきましょう」って言われるのですね。
個人事業主ってもしかして損?
個人事業主の場合は必要経費として認められる基準が厳密には厳しいのですが、多くの方がゆるいと勘違いしている部分ですね。「なんでここまで厳しいの?個人事業主ってもしかして損?」って思われるかもしれません。
個人事業主の経費が限定される理由
個人事業主の経費が限定される理由を紹介します。個人事業主は「人」だと考えられており、この「人」っていつも事業活動だけをしているわけではないからです。つまり「個人が使うお金って、事業に必要なお金だけでなく、生活に必要なお金も含まれいてるでしょ?」という大前提があるからなんですね。
だから、個人事業主の場合は使ったお金の中身を、自分で明確に区分して誰が見ても判断できるようにしておかないと、本当は必要経費には認めないよとされるのですね。正直めっちゃ厳しい〜って感じです。
法人の経費は限定されていない!
では法人の経費も同じように限定されているのでしょうか。
実は、法人は個人に比べて経費として認められる条件がゆるいんです。経費の範囲の違いが、個人と法人の大きな違いなんですね。同じ事業をしているにも関わらず、個人事業主は経費として認められない、法人は経費として認められるという現象が起きてしまうんです。
どうせなら経費として認められるものが多いほうがよいと思いませんか?
まとめ
今回の記事では、「個人事業主はなんでもかんでも経費にできない理由」と「経費にするたったひとつの方法」を紹介しました。今回のポイントは以下の3つです。
・個人事業主の経費が限定されている理由は、事業と私生活を明確に区分することが難しいから
・法人は個人に比べて経費の範囲がかなり広い
・経費として認められるものが多い法人のほうがお得
このブログではこんな感じで「ひとり起業家のためになる節税やお金を貯めるノウハウの話」をしています。気になる方はぜひ他の記事も覗いてみてくださいね。