脱税がバレるとどうなるの?

Last updated on 2023年9月29日 By 杉田健吾

前回のレクチャーでは裏金って経費になるの?という話をしました。結論としては裏金になった時点で経費として処理されてしまっているということでしたね。読んでいただけましたか?そして、この裏金が経費として処理されていることで、裏金がバレたときに大変なことになります。そこで今回は、裏金がバレてしまうとどうなってしまうのか、それでもなぜ裏金はなくならないのかについてお話しします。

今回の内容は

裏金は脱税行為、法律違反です!
裏金に加担しても手元にお金は残らない
でもバレたら全ての罪をかぶることに

裏金1000万円の罰金はいくらかシミュレーション
法人税等で300万円払わないといけない
所得税等で300万円払わないといけない
罰金でさらに135万円払わなければいけない
延滞税でなんやかんや100万円払わされる
結局裏金と同じくらいの税金を払わされることになる

下請け会社が裏金工作をする理由はメリットがあるから

裏金で脱税するのではなく、しっかり節税をしましょう

裏金は脱税行為、法律違反です!

前回のレクチャーでは、裏金とは嘘の経費などを作って会社の表のお金を裏に隠したもので、そのような工作をして裏にお金をプールしたものを政治家などへの賄賂として使うんですよという話をしました。そして裏金って、裏金になった時点で経費になってしまっているよという話をしました。でもこの経費はやっぱりマズいですよね。

裏金に加担しても手元にお金は残らない

これはハッキリ言って脱税行為と言われるもので法律違反です!なのでこんなことをしてあとでバレるとどうなるのか考えてみましょう。前回のトカゲの尻尾を切られた下請会社Dの社長のケースで考えてみます。例えばこの下請会社Dが1000万円の裏金を作っていたとしたら、これがバレたらどうなるか?まあ、この1000万円は裏金になって政治家等への賄賂として使われたため、すでに下請会社Dの社長の手元には1000万円はありませんよね。

A→B→C→D→→→

↑        ↓

←←←←←←←←←

ってなって、お金はどこかへ流れて行ってしまってますからね。

でもバレたら全ての罪をかぶることに

でも前回のレクチャーで書いたように、Dの段階でバレたとしてもDの社長はゼネコンAからの指示でやったとは絶対に言えない。そんなことを言ったら二度と仕事をもらえなくなるし、下手をしたらD自身が大変なことになる。なので絶対に言えないし絶対に言わない。その結果、Dの社長が全ての罪をかぶることになるので、Dの社長である私が遊ぶ金欲しさに会社のお金を使ってしまいました〜。ごめんなさ〜い。って言うことになるんです。

裏金1000万円の罰金はいくらかシミュレーション

こうなると、このD社長はどうなってしまうのかというと、この裏金となった1000万円に対する税金と、その罰金を支払うことになるのですね。

法人税等で300万円払わないといけない

つまり、この裏金1000万円が会社の経費として認められなくなるので、まずは法人税等としてざっくりと30%程度の300万円を払わないといけない。うわ、いきなり300万円も?お金ないのに?って話ですが、それは仕方がない。

所得税等で300万円払わないといけない

でもこれだけじゃないんです。え?まだあんの?って話ですが、まだまだあります。この裏金の1000万円は下請会社Dの社長が個人的な遊ぶ金欲しさに使いました〜って言ってますよね。だって本当のことは言えないし。ということは、この1000万円は全額Dの社長であるあなたが個人的に使ったんだから、あなたの”役員賞与”になりますよということになります。

まあ正確には臨時の役員賞与になるので、経費にならないという話なのですが、あまり細かくいうとわかりにくいので、役員賞与となって法人税等の300万円以外にも社長個人の所得税等も払わされることになる。となると、ここでも追加で所得税等が発生して、またまた300万円程度払えよって言われる。ゲゲゲですよね。

罰金でさらに135万円払わなければいけない

でもこれだけじゃ〜ありません。マジで、と思うかもしれませんが、これらの追加で払わされる税金等に今度は罰金が付いてくるんです。それが重加算税とかいう罰金です。税務調査を受けたことがない人はわかりにくいかもしれませんが、罰金なるものが課せられるのですね。

そしてこの罰金は脱税したとなると罪が重くなって、その追加で払わされる税金の35%にもなります。なので今回の場合は、まず法人税等の300万円の追加税金に対して、300万円×35%=105万円(かなりざっくり計算ですが)の罰金まで払わないといけません。さらに所得税等の300万円の追加税金に対しても10%程度の加算税なるものがかかるので、さらに追加で30万円程度を払う必要がある。

延滞税でなんやかんや100万円払わされる

ひえ〜そんなに〜ですよね。でも、まだあるんですよ。いやいや、罰金はもう払ったじゃんってなると思いますが、さらに今度はこの本来払うべきだった税金に対して、今まで払ってなかったのだから利息払ってよ!って言われます。この利息を延滞税とか延滞金って言います。うわ〜マジかあ〜ですよね。

しかもこの利息が高〜い!この低金利時代なのに、なんと3%〜7%程度(あるケースに該当すると9%〜14.6%にもなる)も取られる。あ、あ、あなたは闇金のウシジ○さん?って思っちゃいますよね。なので、この裏金の1000万円の話が5年前にやった脱税行為だったとしたら、税金等の追加払いが600万円なので、なんやかんやで100万円程度は利息として払ってね〜ってなります。ヒ〜鬼〜助けて〜〜〜ですよね。

結局裏金と同じくらいの税金を払わされることになる

それではいったい全部でいくら払わないといけないの?ってことですよね。今回の場合、

  • 法人税等で300万円
  • 所得税等で300万円
  • 罰金の加算税等で135万円
  • 利息の延滞税等で100万円

なので全部で835万円な〜り〜!でも、消費税も申告している会社だったら、さらに消費税もいろいろ追加で税金等が払わされるということになる。。。というように1000万円の裏金を作ったら、税金やら罰金やらでその元本の1000万円以上は払わされるということですね。なので、脱税するとバレたら後から大変なことになるよ〜って話なんです。悪質だと逮捕されることもありますよ。

下請け会社が裏金工作をする理由はメリットがあるから

そして、ここだけの話なんですが、下請会社Dの社長は、なぜここまでリスクを背負ってまでこんな裏金工作に協力するのか?についてもお話ししておきます。

もしDのところでバレて、この税金と罰金を肩代わりする羽目になったとしても、ここは仁義の世界。絶対口を割らなかったということで、そこから先はこのゼネコンから正規のお仕事がバンバンもらえるようになります。この罰金等の1000万円を肩代わりしたとしてもメリットはあったという話になるのですね。まあ上手くいけばですが。

なので日本のこの古〜い体質が変わらない限り、裏金づくりはいつまでも続くでしょう。そして、これを追いかける国税との戦いも続くわけです。まあそれでもお金は世の中を回っていくということですね。

裏金で脱税するのではなく、しっかり節税をしましょう

今回は、裏金がバレてしまうとどうなってしまうのか、それでもなぜ裏金はなくならないのかについてお話ししてきました。裏金に加担しても自分の手元にお金は残りません。まわりにまわって賄賂などに使われますからね。でも、バレてしまったら罪を全てかぶる必要があります。

そしてどのくらいの罰を受けなければいけないかというと、裏金の8割以上です。裏金が1000万円なら800万円以上ですね。もちろん社長の所得が高ければもっと高額になって、社長の所得が4000万円を超えていたら所得税等と加算税だけで60%も持っていかれます。つまり全部で裏金以上の税金を払わなければいけなくなります。

ここまでのリスクを犯してでも裏金工作に加担してしまうのは、やはり見返りも大きいからです。裏金工作を断れば今後仕事は受注できないかもしれない。一方、もし裏金がバレてしまっても罪をかぶれば将来の仕事が約束されるかもしれない。それなら裏金に加担した方が得だと思う経営者がいてもおかしくはないですよね。

でも僕はもちろん裏金や脱税には反対です。みなさんはこんな危ない世界には首を突っ込まずに、脱税ではなく「節税!」の方をしっかりと学んでいきましょうね。それではまた。