ベンツは隠し財産になるって?

Last updated on 2023年7月25日 By 杉田健吾

前回前々回のレクチャーで「ベンツやフェラーリで節税するなら中古で4年落ちがおすすめ」という話をしましたね。購入するときのポイントや購入するベストなタイミングを紹介しましたので、車の購入を検討している方はぜひ参考にしてくださいね。

今回のレクチャーでは、車の購入したあとの話になりますが、ベンツやフェラーリを上手に活用して、資金繰りをする方法について紹介します。

今回の内容は

前回までのおさらい:車を買うときは細心の注意をしよう
新車の場合は購入時に一気に経費にできるわけではない
中古車であれば購入年に全額経費算入が可能に
購入するタイミングによっては経費にできない場合も

隠し財産を賢く活用して資金繰りをしよう
隠し財産ってなに?
含み資産(=隠し財産)は赤字のときに売却しよう

まとめ

前回までのおさらい:車を買うときは細心の注意をしよう

前回までのレクチャーで、節税対策のために車を購入するときのポイントを紹介しました。今回のレクチャーの本題に入る前に軽くおさらいをしておきましょう。

新車の場合は購入時に一気に経費にできるわけではない

新車買ってしまうと頑張っても1年目に経費にできるのは、2,000万円のベンツだと600万円程度が限界です。一度に全額は経費にできません。

「今期は利益がたくさんでたから車を買って利益を消すぞ!」と思っても、大した節税対策にならないことに注意しましょう。

中古車であれば購入年に全額経費算入が可能に

しかし、4年落ちのベンツを1,500万円で買ったとしたら、うまくいけば1年目に全額が経費にできてしまいます。なぜ中古車であれば1年間に全額経費にできるかというと、新車と中古車では「耐用年数」というものが違うからなんです。

「耐用年数」とは国税庁が定めた「その資産を使用できる期間」のことです。車は耐用年数に応じて1年間で経費にできる金額を割り出します。耐用年数が短ければ短いほど、1年間に経費にできる金額は多くなるんです。つまり、中古車の方が新車よりも耐用年数が短いため、購入年に全額経費にすることが可能になります。

購入するタイミングによっては経費にできない場合も

決算期末ギリギリに購入すると、全額経費にできないおそれもあります。なぜなら、車は「使った期間(=事業の用に供した期間)」に応じて経費にしなければならないと決められているからです。

3月決算の法人が3月に車を購入して使い始めたら1ヵ月分しか経費にできません。また、3月に購入していたとしても納品が翌期の4月であったり、使わずに倉庫にしまい込んでいたという場合には、その年には1円も経費にできないので注意してくださいね。

隠し財産を賢く活用して資金繰りをしよう

今回のレクチャーの本題に入りましょう。今回のレクチャーでは視点をちょっとずらして「ベンツやフェラーリは隠し財産?」という話をします。

冒頭にも書きましたが、4年落ちの中古のベンツを1,500万円で買ったとしたら、うまくいけば1年目に全額が経費にできます。これが実はベンツが「隠し財産になる」と言われる所以です。

隠し財産ってなに?

ちょっと意味がわからないかもしれないので、説明しますね。

4年落ちの中古のベンツを1,500万円で買ったとしましょう。うまくやれば1年で全額経費になります。この1,500万円のベンツがたった1年で全額経費になるということは、どういうことでしょうか?「会社の帳簿上はベンツの価値がゼロになる」ということなんです。つまり、あなたが買った1,500万円のベンツが会社の帳簿から消えるということです。

でも、この中古のベンツが会社の帳簿上は価値がゼロになって会社の帳簿からその姿を消したとしても、実際の価値はゼロにはなっていないですよね。1,500万円で買ったのであれば、1年経ったとしてもまだ1,000万円以上では売れる、いやもしかしたら人気が出て1,500万円以上で売れるかもしれない、それなのにもう全額経費になったので会社の帳簿からはその姿を消した資産、そう、「隠し財産」になったのです。

含み資産(=隠し財産)は赤字のときに売却しよう

先ほど「隠し財産」といいましたが、正確には「含み資産」といいます。含み資産を上手に活用することによって、会社の資金繰りをうまくやる方法があります。

例にあげたベンツの話に戻りますが、会社の帳簿上は資産価値がゼロとして評価されているけれど、実質は売却すると1,000万円以上の価値がある資産です。売却時には実際の売却金額と帳簿上の価格の差額が「売却益(損)」として、利益にプラス(損の場合はマイナス)されます。

もし会社が赤字になり、資金繰りが苦しくなってきたときに例のベンツを売却すれば、1,000万円のキャッシュが手に入るうえに、税金がかからずに売却することができるんです。このような意味で「隠し財産」と言われるわけですね。ただし、黒字のときに売却してしまうと、売却益分よぶんに税金を納めることになるので注意してくださいね。

まとめ

今回のレクチャーでは、隠し財産を賢く活用して資金繰りをする方法を紹介しました。今回のポイントは次の3つです。

・隠し財産(含み資産)とは帳簿上の価値は0円の資産のこと

・隠し財産(含み資産)を赤字のときに売却すれば、税金を払わずにキャッシュを手に入れることができる

・隠し財産(含み資産)は黒字のときには売却しない

ということで、あなたは隠し財産をいくつ持ってますか?