赤字法人が倒産しない理由って?

Last updated on 2023年4月3日 By 杉田健吾

日本の全法人の中で赤字の会社ってどれくらいあるか知っていますか?なんとびっくりすることに7割もの法人が赤字なんです。

今回のレクチャーでは、なぜ日本の全法人の中の7割もの法人が赤字なのか?赤字にも関わらずなぜ倒産せずに法人を継続していられるのか?という話をします。

今回の内容は

7割もの法人が赤字の理由とは?
赤字の繰越とは?
繰越欠損金のある会社は多い

赤字なのに倒産せずに法人を継続できる理由とは?
役員報酬を調整して利益を移動
赤字でもキャッシュが回れば倒産しない

まとめ

7割もの法人が赤字の理由とは?

その理由のひとつは、赤字の会社の中の約4割の会社が実際には黒字だけど、赤字の繰越で利益がゼロになってるからなんです。

赤字の繰越とは?

赤字の繰越というのは、正確には繰越欠損金といい、赤字を翌事業年度以降に繰り越すことで、将来の法人税の負担を軽減する制度です。繰越欠損金は10年繰り越すことができます。

繰越欠損金のある会社は多い

なんと約180万社の赤字法人のうち、約70万社程度は実際には黒字だけど、赤字の繰越で利益がゼロになるため、法人税を払っていない会社なんです。しかも、この繰越欠損金でまだ控除未済のものが、なんと日本全体で約70兆円もあるんです!

えええ〜そんなに〜どんだけ〜、いやはやほんと、、、どうなってんの?って話ですよね。

赤字なのに倒産せずに法人を継続できる理由とは?

「なぜ赤字なのに倒産せずに法人を継続していられるのか?」についての、もうひとつの理由が、役員報酬です。

役員報酬を調整して利益を移動

多くの中小企業では、出来るだけ法人で利益を残さないように、役員報酬の金額を調整して、法人の利益を個人に移転しています。つまり、役員報酬(社長の給料ほか)を出さなければ法人は黒字ですが、そのままだと法人で税金がかかるから、社長やその親族に役員報酬を払う形にして、法人の利益を個人に移転しているということですね。その結果、法人は赤字になっていると。

なので、これも法人の事業としては本当は赤字ではないのに、赤字になってる会社ということですね。

赤字でもキャッシュが回れば倒産しない

会社(法人)は、たとえ赤字だったとしても、キャッシュが回っていれば、倒産はしません。なぜなら、法人にはお金が残っていないとしても、役員報酬を賢く活用することで社長の手元にお金がある状態を作れれば、いつでも社長個人のお金を法人に貸せるので資金繰りには困らないというわけですね。

どうですか?こうやって日本の法人の実態を見ていくと「え〜そうだったんだ〜」っていう驚く実態がたくさん見えてきませんでしたか?

まとめ

今回のレクチャーでは、赤字の法人が多い理由と赤字にも関わらず倒産しない理由を紹介しました。今回のポイントは次の3つです。

・繰越欠損金を使うことで、黒字でも法人税等を払わなくていいケースがある

・キャッシュが回っていれば、赤字だったとしても倒産しない

・役員報酬を賢く活用して、法人の利益と個人の利益を上手に調整しよう

このようにひとり起業家も「法人」という便利な器を持つと、いろいろと面白いことができるようになるんですね。ということで、あなたもひとり起業家なら、ぜひ法人を賢く活用して社長の手元にしっかりとお金を残して行きませんか?