息子に業務委託料を支払っても大丈夫?(続)

Last updated on 2023年6月5日 By 杉田健吾

前回のレクチャーでは、身内への支払いには国税はやはりうるさいですよという話をしました。なので、どうしても息子や身内に業務委託料として報酬を支払いたいなら、ここ注意してねっていうポイントがあるんですよ〜という話をしましたね。そこで今回は、そのポイントについてお話ししていきます。

今回の内容は

本当は給料なのに業務委託費としている会社が多かった
業務委託料の方が会社には有利
国税庁が業務委託料になるか判断する基準を作った

業務委託料にする4つの判断基準を実例で紹介
1. 指揮監督を受けるか?
2. 道具の提供を受けるか?
3. 他人が代替して業務を行えるか?
4. 仕事が完了してなくても報酬をもらえるか?

4つの判断基準をクリアして業務委託料を支払おう

本当は給料なのに業務委託費としている会社が多かった

給料か外注か?つまり、雇用か請負か?という問題については、実は以前からかなり、いろいろと問題になっていました。なぜかというと、実質は給料なのに外注費(業務委託料)として報酬を支払ってる人がたくさんいたからです。

業務委託料の方が会社には有利

えっ?なんでそんなことするの?って思うかもしれませんが、給料として報酬を支払うと源泉所得税という税金を給料から天引きして払わなければいけません。また、消費税の控除ができなかったり、社会保険料を負担しなければいけなくなったりするんです。だから、こっそり外注費(業務委託料)として支払ってる人が多かったんですね。

国税庁が業務委託料になるか判断する基準を作った

そんなことが多かったので、国税庁もこのままじゃあ判断に困るということで、どんな場合が給料になって、どんな場合が業務委託料になるのかという4つの判断基準を作ったんですね。それが以下の4つです。

1. 指揮監督を受けるか?

2. 道具の提供を受けるか?

3. 他人が代替して業務を行えるか?

4. 仕事が完了してなくても報酬をもらえるか?

業務委託料にする4つの判断基準を実例で紹介

4つの判断基準を見ても、なんじゃこりゃ〜。さっぱりわからんわ〜なんて声が聞こえてきそうですが、安心してください。ちょっと解説しますね。社長があなたで、息子さんに外注費を支払うというケースでそれぞれの判断基準について考えてみましょう。

1. 指揮監督を受けるか?

外注であれば業務の進行や手順については息子さんが自由にできるはず。しかし、実際には社長であるあなたが「あ〜しろ、こ〜しろ」と細かい指示を行なっている場合があります。すると、どう見ても息子さんはあなたの指揮命令系統下にあるんちゃうの?って判断されて、これ給料って言われる可能性が大です。

2. 道具の提供を受けるか?

外注であれば息子さんが自分で道具や材料を用意するはずです。しかし、パソコンやスマホ等の仕事道具をぜ〜んぶあなたの会社の経費で買い与える、なんてことをやってしまうと、これも給料でしょ?って言われますね。

3. 他人が代替して業務を行えるか?

外注であれば、その仕事を息子さんがさらに知り合い等に下請けに出すことも可能です。また、息子さんが急用で仕事を休むときは、息子さんが自分で代わりの誰かを手配することになります。しかし、息子さんが休んだら、代わりの手配をあなたが全部してるとなると、それは給料でしょ?って言われます。

4. 仕事が完了してなくても報酬をもらえるか?

息子さんがなんらかの不可抗力で仕事が途中となって、商品やサービスを渡せなくなった場合があります。外注なら息子さんは報酬をもらえない(請求できない)のが普通ですね。それなのに、仕事の途中であってもやったところまでは報酬をもらっているなら、これは給料だあ〜って言われる可能性大ですね。

4つの判断基準をクリアして業務委託料を支払おう

今回は、息子や身内にどうしても業務委託料を払いたいときに抑えておきたいポイントを解説してきました。抑えておきたいポイントとは、国税庁が決めた以下の判断基準のことです。

1. 指揮監督を受けるか?

2. 道具の提供を受けるか?

3. 他人が代替して業務を行えるか?

4. 仕事が完了してなくても報酬をもらえるか?

国税庁は、この4つの判断基準をもとに、給料か外注かを総合的に判断するよって言ってます。なので身内だけではなく身内以外でも、外注費(業務委託料)として報酬を支払う場合は、この辺り注意して報酬を支払うようにしてくださいね〜。それではまた。