退職金で分身の術って?

Last updated on 2023年4月26日 By 杉田健吾

前回のレクチャーでは、法人の退職金にはかなりお得な特典がついているという話をしました。どうですか?ますます早く法人にしてみたくなった方、多いのではないでしょうか?

今回のレクチャーでは、退職金の特典をもう一つご紹介します。前回紹介した特典①と併せて使うことでかなり節税効果があるので、賢く節税したいひとり起業家の方は使わない手はありません!

今回の内容は

前回のおさらい:退職金は半分しかもらってないことにできる?

本題に入る前に、少しだけ特典①のおさらいをしておきましょう。

退職金にだけ使えるお得な控除がある

退職金をもらうと所得税と住民税が課されるわけですが、もらった額全額に課されるわけではないんです。「退職所得控除」という退職金だけに使える控除があります。

勤続年数(=A)退職所得控除額
20年以下40万円×A(80万円に満たない場合は、80万円)
20年超800万円+70万円×(A-20年)

この退職所得控除は勤続年数が長くなればなるほど、控除できる額が増えるしくみになっています。

さらに退職金を半分にすることだってできちゃう!

そして、さらにすごい特典が、もらう退職金の額から退職所得控除を引いたあとの金額を1/2にすることができるんです。もらう退職金の額と勤続年数によっては、退職金をまったく無税の状態で手に入れることも可能になってしまうんです。

この特典、すごいですよね。

退職金にも分身の術が使える!

ここからが今回のレクチャーの本題です。「この退職金ってあなたが複数の会社で同時に役員をしていたとしたらどうなるの?」についてお話します。

分身の術って?

僕は数々のレクチャーで「法人は分身の術が使える」「分身の術を使うことでかなりの節税効果がある」とご紹介してきました。僕のレクチャーをいつも読んでくださってる方は、「分身の術知ってるよ!」って思ってくださるかと思います。

簡単にいうと、複数法人をもつことによって、節税効果が何倍にもなるという節税術です。詳しくはこちらのレクチャーを読んでみてください。

退職金を分身させる!

退職金に分身の術を使うというのは、つまり2社以上から退職金をもらうということですね。

例えば、あなたが自分の会社を2社持っていたとします。その両方の会社で、社長または役員をしていた場合、2社から退職金をもらって、退職所得控除なる特典って(税金がかからない範囲ですね)2社とも使っていいの?という話ですね。

退職金をもらう時期を5年以上ずらせば特典が使える!

退職所得控除とは、「勤続年数×40万円(20年を超える場合は70万円)」となっていますが、ここでいう勤続年数はあなたが2社で同時に役員をしていたとしても、退職金をもらうタイミングを5年以上ずらすと、重複してカウントしてもいいんです。つまり、2社での勤続年数が10年重複していたとしても、退職金をもらうタイミングを5年以上ずらせば、40万円×10年=400万円の退職所得控除が重複して使えるってことなんですよ。

しかも、さらに半分しかもらったことにはならないという特典も2社とも適用できるので、退職金と法人ってやっぱ賢く活用しない手はないですね。

まとめ

今回のレクチャーでは、分身の術を使ってさらに退職金をお得にもらおうという節税術を紹介しました。今回のポイントは、次の3つです。

・退職所得控除は、2社以上から退職金をもらっていても適用可能!

・ポイントは5年以上もらう時期をずらすこと

・分身の術を使えるのは、社長だけでなく家族役員も使える

分身の術が使えるのがやっぱ法人の特典ですよね。なのであなたもぜひ賢く法人を活用して、目の前の形だけの節税ではなく(お金が出ていく節税ではなく)、本当に自分の手元にお金が残る節税を考えていきましょうね。