内部留保ってなんだ?
Last updated on 2023年7月13日 By 杉田健吾
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先日ある起業家の方がこんな話をしていました。「このコロナ禍のような不安定な時期はやっぱ内部留保を溜め込んでいる企業が強いよね。内部留保が潤沢にあれば、それを少し切り崩せばこのコロナ禍でもなんとかなるからいいよね〜。」って。あなたはこの会話正しいと思いますか?
僕はこの話を聞いていて???となりました。内部留保を溜め込んでる企業が強い?その内部留保を切り崩せばなんとかなる???えっ?この人何言ってんの?って。それって、どっかの新聞かニュースの言葉をそのまま言ってるだけじゃないの?って。あなた、内部留保の意味わかってますか〜って。
そこで今回は、内部留保とは何かについて解説します。内部留保の本当の意味が分かることで、この会話の違和感に気が付くはずです。
内部留保は貸借対照表の利益剰余金のこと
確かに、よく経済のニュース番組なんかを見ていると「内部留保」=「会社が溜め込んでるお金」みたいに書かれてることが多いため、多くの方が内部留保が多い会社はお金を持っている会社みたいに思っているのかもしれませんね。
でも内部留保ってざっくり言うと、BS(貸借対照表)の右側にある純資産の部に入ってる「利益剰余金」のことですからね。利、利、利益剰余金?な、な、なんですかそれは?って思いましたか?まあ簡単に言うと、今までの会社の利益の累積ですね。
利益余剰金の計算方法
例えば、あなたの会社の利益の推移が以下の通りだったとします。
1期目 100万円
2期目 200万円
3期目 300万円
4期目 400万円
5期目 500万円
このような場合、5期分の利益を全て足した金額が利益余剰金です。つまり、BS(貸借対照表)の右側にある純資産の部に入ってる利益剰余金は1500万円になっているということですね。
内部留保はキャッシュとは限らない
利益剰余金の仕組みを知ると、勘のいいあなたならもうお気づきかもしれませんね。あれ?と言うことはこの利益剰余金ってキャッシュじゃないんだ〜って。そうなんです。内部留保なんて言葉を使うとあたかも会社が「金庫にこっそり溜め込んでる現金!」のように勘違いされますが、あくまでも内部留保ってあなたの会社の今までの利益の累積を金額で表しているだけですからね。
だからけっして、その内部留保っていうお金があなたの会社の隠し財産として、どこかに保管されているというわけではないですからね。そんなもんとっくの昔に在庫とか建物とか土地等の別の資産に変換されてるはずですからね。間違いなくそんなお金、あなたの手許に残っていないですからね。
内部留保とキャッシュは別物です
今回は、内部留保とは何かについて解説してきました。つまり内部留保は会社がため込んでいるお金ではなく、今までの利益の累積です。だから、現金で持っているとは限りませんし、普通は設備投資や他の資産に変わっていますね。このイメージの違い、分かっていただけますか?つまり内部留保が多い会社はキャッシュを沢山もっていて、コロナ禍でも安心だというのはちょっと違うんですよね。
ちなみにうちの会社は、内部留保は赤字です。でも会社のキャッシュはかなり潤沢にあります。この違い、そしてこの秘密、わかっていただけるかな〜。これを分かっていただくには節税脳を鍛える必要がありますね。