社長、その接待費って給与になりまっせ( ̄▽ ̄)
Last updated on 2023年9月1日 By 杉田健吾
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最近のレクチャーで交際費ネタを書き続けてますが、交際費の適用範囲の広さを分かっていただけたでしょうか。これだけ適用範囲が広いと何でも接待交際費にしてしまえばいいじゃないのって思えてきますよね。でも接待交際費にも弱点というか注意しなければいけない点があるんです。その注意点を理解していないと、節税どころか増税になってしまうので気を付けましょう。
そこで今回は、接待交際費についてここを気をつけておかないと後で大変なことになりますよ!という注意点をお伝えしていきたいと思います。
接待交際費って領収書なくてもいいの?
先日僕のところに「毎月会社から接待交際費として10万円の予算を組んでお金いただいているのですが、うっかりするとこの接待交際費の予算を使ったときに、領収書等をもらうのをよく忘れるんです。そしてそれが何回か続くと面倒くさくなって、領収書貰わなくてもまあいいかあ〜ってなっちゃうんですよね。どうせ取引先の人と打ち合わせをしたり、打ち合わせの後に食事に行ったりする費用にちゃんと充てているんです。だからたとえ領収書がなくたって月10万円の予算をちゃんと組んで使っているんだから、これはこれで接待交際費(または会議費)として会社の経費に認めてもらえるでしょ?」っていう質問がありました。
渡し切り交際費はあなたの給料に
この質問に対して、あなたはどう思いますか?これね、実はね、国税ではね、「渡し切り交際費」と言って、接待交際費ではなくてあなたの給与になってしまうんです。
一生懸命おもてなししても接待交際費にならない
つまり、社長であるあなたが、会社の予算を使って接待交際費として取引先さんを一生懸命おもてなししていていたとしても、クライアントさんとの親睦を深めるために会社のお金をバンバン使っていたとしても、接待交際費として認めてもらえないんです。領収書やレシートをもらわず、きちんと後から精算もしていなかったとしたら、なんと社長の役員報酬に上乗せされてしまうんです。
出張旅費以外は原則実費精算が必要
つまり社長の給料として所得税が課税されてしまいますよ〜ってことですね。マ、マ、マジで〜?これのなにがあかんの?って思われるかもしれませんね。出張旅費だと旅費規程を作成すれば、実費精算せずに一定額での支給が認められていますよね。それなのに接待交際費になったとたん、月10万円の予算のような定額支給がなんであかんの?ちょっとひどいやんかあ〜ってなりますよね。それもそうなんですが、会社の経費って出張旅費以外は原則は全て実費精算が原則です。
接待交際費はさらに使途を明らかにする必要がある
そしてこの接待交際費に至っては、その使途が明らかでないと給料として所得税が課税されるということですね。その使途を明らかにするということは、
- いつ(日付)
- どこの誰に(参加者)
- なんの目的で(目的)
- どの店で(支払先)
- いくら使ったのか?(金額)
を明らかにするということです。これらが明らかでないと、そんなものはそもそも会社の経費になるかどうかの判断ができないから、社長、あんたの給与にするよ〜って話ですね。
適用範囲が広い交際費だから使途が重要
これまでの僕のレクチャーでも言ってきたように、法人の交際費ってその範囲はめっちゃ広いんです。でも交際費として経費計上するには、ちゃんと接待交際費としてお金使ったんですよ〜って後から説明できるようにしておかないといけません。そうしないと、最終的には社長の給与にされてしまいますよ、ということですね。そこんところ、よ〜く注意してくださいね。
接待交際費は実費精算と使途に気を付けよう
今回は、接待交際費の注意点について解説してきました。接待交際費の注意点は、実費精算と使途を明らかにすることの2点です。僕が大好きな出張旅費は規程さえ決めてしまえば一定額の支給が認められていますが、それ以外の経費は基本的に実費での精算が原則です。そのため接待交際費も実際に使った分だけ経費にしなければいけません。それを証明するには領収書などの証拠が必要になりますね。
でも接待交際費はそれだけではありません。接待交際費は適用範囲が広い分「いつ」「どこで」「誰と」「どんな目的で」そのお金を使ったのかを証明する必要があります。それができないと、何に使ったのかわからないものはそもそも会社の経費になるかどうかの判断ができないため、会社のお金を社長にあげたと判断されて、社長の給料扱いにされてしまうんですね。そうならないためにも、接待交際費の使途を明らかにしておきましょう。