観光メインの海外旅行でも経費?観光メインの海外旅行は交際費で行け!

Last updated on 2023年8月16日 By 杉田健吾

前回のレクチャーでは、ひとり起業家は仕事をする時って、起業家仲間とチームを組んで仕事することが多いですよねという話をしました。そして最近では、何かプロジェクトをする時に、そのチームのみんなで海外に旅行に行って親睦を深めながら仕事もしようぜ!みたいなことをよくやりますよねという話もしましたね。

チームで海外に行ってずっと仕事をしていたら、もちろん旅費交通費で全額経費にできますが、わざわざ海外に行って仕事だけってことはそうそうない。むしろ観光を兼ねて親睦を深めることがメインのことのほうが多いですよね。でも観光が多くなってしまうと旅費交通費で全額経費にすることが難しくなります。

だから、そんな時はいっそのこと交際費として経費にするのがいいかもしれませんねという話もしましたよね。そこで前回も予告した通り、今回はなぜ海外旅行を交際費として経費にできるのかについて僕の考えをお話ししていきます。

今回の内容は

社長の海外出張は必ず税務調査される
遊びの旅行なら損金不算入で追加納税
否認されると社長の所得増でトリプルパンチ

なぜ社長の海外出張は否認されやすいのか
国内がOKなのに海外がNGなのはおかしい
海外旅行もチームを団結させるためには必要な仕事

旅費交通費と交際費を上手に使い分ける
完全に仕事で行く場合はもちろん旅費交通費
観光が多くても交際費で経費に

ひとり起業家の仕事を理解できる専門家はまだまだ少ない
調査官を説得するのが結構骨が折れる作業
あまり無理せず費用対効果を考えて取り組む

交際費を上手に活用すれば海外旅行も経費にできる

社長の海外出張は必ず税務調査される

実は海外旅行であれ海外出張であれ、社長が海外に行った費用が経費になっていた場合、この経費はまず間違いなく税務調査で内容を確認されると思っておいてください。なんで確認するの?って理由ですが、それは海外出張が仕事ではなく遊びに行ってるんじゃないの?って疑っているからです。

遊びの旅行なら損金不算入で追加納税

しかも国内旅行なら金額もしれていますが、海外旅行となるとその金額も大きくなるので、その旅行が遊びなら社長の賞与になるからです。そして社長の賞与になると、経費にならなくなって法人税を追加で払わされることになります。これを役員賞与の損金不算入と言うのですが、つまり役員(社長)の賞与(臨時の給与)は損金不算入(経費にはしないぜよ!)ということです。

否認されると社長の所得増でトリプルパンチ

そしてこの役員賞与の怖いのは、経費にならないというだけじゃなくて、社長の賞与になるということです。つまり社長個人の所得税も取られることになるため、会社では法人税を追加で払わされ、社長個人は所得税も追加で払わされることになるんです。さらに加算税や延滞税という罰金まで追加される。

まあ社長からしたらダブルパンチどころかトリプルパンチにもなり兼ねない危険が伴うってことですね。これははっきり言ってかなり嫌ですよね。

なぜ社長の海外出張は否認されやすいのか

でもこれをよくよく考えてみるとおかしな話なんです。国内で単なる起業家仲間の懇親会に参加して、交流を図ったり親睦を深めたりした場合の費用って交際費になりますよね。なのにこれが海外でとなった途端にチェックが厳しくなって、観光目的の旅行は経費にならないって思われているんです。

国内がOKなのに海外がNGなのはおかしい

でも僕は、国内ならOKで海外になるとNGってのはちょっとおかしいと思っているんですよね。今回の例のような起業家仲間がチームを組んで仕事する場合、そのメンバーの親睦を深めることって重要だと思うんです。そのために、そのメンバーが仲良くなるために、今後の仕事が円滑に進むように企画して海外旅行も兼ねて仕事する場合、これってその旅行に参加しないと仕事にならないわけじゃないですか?

海外旅行もチームを団結させるためには必要な仕事

今回のプロジェクトを円滑に進めるためには、この海外旅行に参加しないといけないとなると、これってある意味強制参加ですよね。自分だけが勝手な理由で参加しませんでは通らないし、それではチームがバラバラになって仕事にならない可能性もある。このような場合は海外旅行だってやっぱり仕事でしょ?

そりゃ〜、せっかく行くんだから向こうで観光もいっぱいしているかもしれませんが、その観光にしても今回の起業家チームが親睦を深めるためじゃないですか?だったらこれって交際費でいいんじゃないの?って僕は思うわけです。

旅費交通費と交際費を上手に使い分ける

完全に仕事で行く場合はもちろん旅費交通費

つまり海外に出張する場合、その海外に出張する目的とその現地での行動が、

  • 商談とか
  • 契約締結とか
  • 国際会議への出席とか
  • 現地の視察、見学、訪問とか
  • 展示会、見本市等への参加とか
  • 市場調査等、、、

であれば、それは完全なる仕事としての出張なので、その出張にかかる費用は旅費交通費として経費になる。これは何も問題はないですよね。

観光が多くても交際費で経費に

しかし完全なる仕事じゃなくて、今回の例のような起業家仲間がチームを組んで仕事をする場合でも、そのメンバーの親睦を深める目的で海外での観光も兼ねて現地で仕事をするような場合、これは現地での観光がたとえ含まれていたとしても、いや観光が大半であったとしても、参加した全員で行動を共にして親睦を深めることが目的である以上、そりゃ〜最悪でも交際費でいいでしょ!って思うわけですよ。だってそれも仕事のうちだから。

ひとり起業家の仕事を理解できる専門家はまだまだ少ない

ただね。これはあくまでも僕の意見なので、国税側からしたらそんな風にはなかなか見てくれないのも事実です。もう海外で観光してるってだけで、これは経費には認められません!これは社長の賞与になりますよ!って言ってくるのは目に見えているんです。だって国税の調査官には、ひとり起業家の仕事の仕方なんかまったく理解できないですからね。まあ、多くの税理士さんも理解できないでしょうが。

調査官を説得するのが結構骨が折れる作業

なのでここは社長が自ら頑張って、その調査官とその後ろにいる統括官に懇切丁寧に理解させてあげないといけないんです。まあこれが結構骨の折れる仕事なのですがね。僕は今は自分がひとり起業家の立場なので、こりゃ〜当然経費でいいだろ!って理解できるし、調査官の固〜い頭を懇切丁寧に理解させてあげることもできます。

あまり無理せず費用対効果を考えて取り組む

しかし皆さんの場合はそう簡単にはいかないと思いますので、あまりに骨が折れるようならば費用対効果も考えた上であまり無理をせず、ある程度税金を払うことで解決することもありかもしれませんね。ちょっと嫌ですが仕方がないですね。

まあでも、10年前に比べたらひとり起業家の数もかなり増えてるし、その働き方も大きく変わってきてるので、その辺りの現状を古い法律で勝手に解釈されるのはちょっと嫌なので、懇切丁寧に理解させてあげる努力を僕は頑張っていきたいと思います。

交際費を上手に活用すれば海外旅行も経費にできる

今回はなぜ海外旅行を交際費として経費にできるのかについてお話ししてきました。そもそも仕事がメインとして海外出張に行っているなら、交際費ではなく堂々と旅費交通費で経費にして、日当や支度金をもらうことをおすすめします。しかし、観光が多い海外旅行の場合、旅費交通費では否認されるリスクが高まります。否認されると、法人税、所得税の他に加算税や延滞税という罰金まで支払わないといけないので、嫌ですよね。

そこで観光が多い海外旅行については、交際費として経費にすることをおすすめしています。今回のような場合、観光も親睦のために必要で、親睦が深まることで仕事が上手くまわるようになるからです。つまり観光も仕事のうちであり、ビジネスにつながっているというわけですね。だから交際費として経費にしても問題ないのではないかということです。

今回は僕の考えがメインになっているため、調査官や税理士さんもはじめのうちは理解してもらえない可能性が高いです。そのため理解してもらうには懇切丁寧に説明してあげる必要があります。この作業が面倒で、効果もあまりないのなら、無理せず税金を払ってしまった方が安上りかもしれませんね。でも、良く海外に行くしどうしても経費にしたいという方はチャレンジしてみましょう。ではでは、今日はこの辺で。