出張旅費が少額なら旅費規程は不要か?たかが10万、されど10万!その効果を実証。
Last updated on 2022年12月23日 By 杉田健吾
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旅費規程の導入は進んでいますか?
旅費規程を導入しようとしている人の中には、どのくらいの効果があるのか試算した人もいると思います。その中には、宿泊を伴わない出張がメインのため、出張手当が思ったより少額だと感じた人もいるのではないでしょうか。僕の記事を読んだ人なら、僕と同じように月40万円以上の出張旅費を期待していた人も多いでしょう。それと比べると自社の場合は少額で、出張旅費の導入をためらっている人がいるかもしれません。
しかし、出張旅費に少額ということはありません。たとえ月10万円だったとしても、十分効果があるのです。そこで今回は、出張旅費が少ないと感じる人に伝えたいことを紹介します。この記事を読めば、月10万円程度の出張手当でも、大きな効果があると実感できますよ。
出張の定義を正しく理解しよう
以前「出張の定義を間違えていませんか?出張すれば大幅節税が可能!」という記事の出張の定義のところで、このような質問があった。という話をしたのですが覚えていらっしゃいますか?今回の本題に入る前に、そのときのおさらいをしましょう。
質問内容は「この場合出張旅費が出せるのか」
そのときの質問内容は以下の通りです。
「現在、エアコンの取り付け等の電気工事の仕事を10年以上しています。社員は3名で、社長の私と息子、経理は妻がやっている、完全な同族会社です。私と息子は毎日、エアコンの取り付け工事のために現場(お客様の家)に行っていますが、この場合は出張になるのでしょうか?そして、動画でお話ししているような出張旅費って出せるのでしょうか?」
回答は「出張旅費はもちろん出せる」
そして、このときの僕の回答を要約すると以下のようなものになります。
「えっ?これを出張と言わずして、何を出張というのでしょうか?社長と息子さんは、現場に行くのが仕事。つまり出張するのが仕事のようなものじゃないですか?ならば本当は毎日、出張手当が出せます。いままで出張旅費を出していないなんて、もったいないなあ。同じように損をしている人が世の中にはいっぱいいるんだろうなあ。
ちなみに、出張手当が1日5000円だとしても、月に25日出張しているなら、月12.5万円も受け取れる。2人で25万だから年間300万円も経費が増やせることになる。300万円も経費が増やせたら、90万円近くの節税になり、出張経費の300万円と合わせて、390万円も手元に残ることになります。
それを10年も続けていれば、3900万円の資産が築けるのです。すごくないですか?
だから、出張していないという人も、出張の定義を正しく理解しましょう。」
このような回答をしました。詳しくは、「出張の定義を間違えていませんか?出張すれば大幅節税が可能!」をご覧ください。
出張手当が少ないと感じますか?
上記の記事を読まれ、僕のところにメールしていただいた方がおられました。その方の反応から、僕が思ったことを紹介します。
月10万円の出張手当は少ない?
メールをいただいた方はひとり社長で、毎日、現場や商談、営業に走り回っているとのことでした。そして、ぜひ自分の会社にも旅費規程を導入したいと意気込んでおられました。そして、お話をお聞きして、どれくらい出張旅費を出せるか試算してみたのです。
この社長さんは日帰りで昼間の出張がほとんどだったため、1日の出張手当を5000円程度としました。そして、1ヶ月で20日間出張したと仮定すると、全部で10万円になります。
5000円×20日=10万円
このように試算した結果、「たったそれだけ?」と感じたみたいでした。どうもご自分の予想では、月に30万円〜40万円は出せると考えておられたようです。そのため、10万円では少ないとがっかりされていた様子でした。
宿泊付きの外出なら40万円も可能だが
たしかに、宿泊出張が多い方であれば、出張手当や宿泊費も含めて、1日数万円受け取ることも可能です。そのため、宿泊出張が月に10日もあれば、あっという間に出張旅費を20万円〜30万円もらうこともできます。
ちなみに僕の場合は、関西に自宅があるので、東京に滞在すると宿泊出張になります。1ヶ月のうち10日も東京に滞在していれば、出張旅費は40万円を超えてしまいます。
10万円でも年間120万円の経費計上
宿泊出張が多い人と比較すると、毎日出張していてもたったの10万円かあ〜とがっかりしてしまうのも無理はありません。たしかに、月40万円と比較したら10万円は少なく感じるかもしれませんね。しかし、何もしなかったら、この10万円も生まれないのですよね。
たった10万円と思うかもしれませんが、それでも月に10万円もお小遣いが増えるっていいと思いませんか?これだけで年間120万円も経費が増え、社長の手元にお金が120万円増えるんですよ。年間120万円の経費計上なら、税率30%でも節税効果が36万円になります。
つまり、出張手当によって無税のお金が120万円も社長に支給され、節税によって36万円が会社に残るわけです。それによって、出張旅費がない時と比べて、年間156万円もお金が余分に残るようになるんです。これを5年続けたら、156万円×5年=780万円にもなります。これって、少ないですか?何もしなければ無かったお金ですよ。出張規定を導入するだけで増えるお金ですよ。
年間156万円の利益を出すのは大変
たった10万円っていいますが、年間156万円の利益を残そうと思ったら、中小企業ではいくらの売上げに匹敵すると思いますか?利益率10%の会社なら売上1560万円が必要になります。5年分なら7800万円の売上ですね。利益率3%の会社なら売上5200万円、5年分なら2億6000万円の売上が必要です。
たった10万円っていいますが、これって絶対馬鹿にならないお金なんですよ。たった10万円。されど10万円なんです。だから、この辺りの感じ方がすごく大事です。他の会社と比較してがっかりするのではなく、自分の会社の現状と比較してどうなるのかを考えましょう。
出張旅費は現状と比較しよう
今回は、出張旅費が少ないと感じる人に伝えたいことを紹介しました。出張手当は妥当性も求められるので、それほど高額に設定することはできません。そのため、宿泊を伴わない出張が多い社長さんだと、毎日出張しても月10万円程度の出張手当になることもあります。
僕のように、月の1/3を宿泊出張している方と比較すると、少ないと感じるかもしれませんね。しかし、他社と比べるのは無意味です。現状、経費にならなかったものが、経費として計上できるだけでも十分効果があります。その金額の利益をあげるためには、その何倍もの利益が必要になるのですから。
つまり、出張旅費を導入する際は、自社の現状にフォーカスすべきだと思いますし、その方が冷静な判断もできます。そして、幸せな成功者の思考になれると思いますよ。ですから、この辺りの感覚を大切にしてくださいね。
ではでは、今回はこの辺で。次回もお楽しみに。